話題を呼んでいるNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。舞台となっているのは平安時代だ。今年は他にも平安時代を舞台にした作品が多い。平安時代の面白さとは? コラムニストで時代劇研究家のペリー荻野さんが解説する。
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ドラマでアニメで舞台(三宅健が東京・京都で『陰陽師 生成り姫』に主演)で、今年は平安時代を描く作品が多い。
大河ドラマ『鎌倉殿の13人』とフジテレビのアニメ『平家物語』は同じ平安末期を舞台にしているので、並行して見るとこの時代の面白さがよくわかる。
その面白さの第一は、得体が知れない登場人物がとても多いこと。『鎌倉殿』には、主人公の北条義時(小栗旬)が呼んでもいないのに、次から次へと得体が知れない濃いめのキャラクターが出てくる。
たとえば、源行家(杉本哲太)。山伏姿の怪しげな姿で頼朝(大泉洋)のもとにやってきた行家は、挙兵して平家を倒すよう伝える以仁王の令旨を携えていた。しかし、頼朝は行家を「父の兄弟の中で、一番うわついて、一番中身のないお人」とあっさり断言。挙兵には加わらなかった。
その後、頼朝の前には薄汚れた僧・文覚(市川猿之助)が登場。驚いたことに文覚は頼朝の父・義朝のドクロを持ち歩いている!? 嘘くさー、と思ったら、やっぱり嘘だった!! 猿之助はこういううさんくさい人物を演じるのが、とってもうれしそうだ。第六話では不敵に微笑む上総広常(佐藤浩市)も姿を見せて、ますます混沌としてきた。これがみんな実在の人物だというところが、この時代の奥深いところ。
一方、『平家物語』は、平家に父を殺された少女・びわを軸に平家の側から見た平安末期が描かれる。第五話で際立ったのが、平清盛の息子の宗盛だ。栄誉栄華を極める清盛の跡取りでしっかり者の重盛が亡くなり、跡取りとなった宗盛は、かなり傍若無人な男。源仲綱の愛馬を欲しがり、借りたまま返さず、勝手に名前を「仲綱」とつけて見せびらかす。困ったお坊ちゃんである。