芸能

朝ドラや月9も! 急速に進む連ドラの“まとめ動画”公開戦略

菅田将暉の両親が語った家庭の秘密

菅田将暉主演の『ミステリと言う勿れ』は各話が8~9分程度のダイジェストに

 ドラマの視聴方法がテレビだけではなくネットにも広がっているが、そんななか各局が新たな動きを見せている。それは放送後に、ダイジェスト版をネットで公開するというもの。その狙いとは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 このところ連続ドラマの放送終了後、番組ホームページや各局のYouTubeチャンネルに、各話のダイジェスト版を公開する動きが急速に進んでいます。

 その最たるところは、朝ドラ『カムカムエヴリバディ』(NHK)。番組ホームページの「あらすじ」に、「だいたい2分でわかる第〇週ダイジェスト」がアップされ、一週分の約75分の映像が約2分にまとめられています。

 民放各局の主な連続ドラマに目を向けると、まずフジテレビは、『ミステリと言う勿れ』の各話が8~9分程度のダイジェストにまとめられ、犯人や結末も惜しげなく公開。『ゴシップ #彼女が知りたい本当の〇〇』は「忙しい人のための3分間でだいたいわかるダイジェスト」、『ドクターホワイト』(カンテレ)は2分程度の「赤ペン瀧川が解説!第〇話をおさらい!」という動画を公開しています。

 次に日本テレビは、『ムチャブリ! わたしが社長になるなんて』が「3分でわかる!第〇話振り返り!」、『逃亡医F』は約5分のダイジェストを公開。特筆すべきは『真犯人フラグ』で、各話約5分のダイジェストに加えて、「菱田朋子の謎まとめ」「林洋一の謎まとめ」「木幡由美の謎まとめ」など怪しい登場人物の約5分まとめ動画を次々に公開し、終盤に入って「1分でわかる!〇話までの真犯人フラグ」も追加されています。

 テレビ朝日は、『となりのチカラ』が「だいたい5分でわかる第〇~〇話ダイジェスト」、『愛しい嘘~愛しい闇~』が「第1~4話ダイジェスト」の「3分で簡単!丸わかり編」と「15分でジックリ考察編」を公開しています。

 TBSは、『DCU』が「5分でサクッとわかるダイジェスト」、『妻、小学生になる。』が各話約30秒の「ダイジェストマンガ」を公開しています。

 本来、連続ドラマは放送と同じ長さで見てもらいたいものであり、実際にこれほどコンパクトにまとめたダイジェスト版が公開されることは、「作品やスタッフとキャストを否定する」という観点からめったにありませんでした。映画業界では数分にまとめた「ファスト映画」で逮捕者が出るなどネタバレが問題視される中、なぜここにきて各局がダイジェスト版の公開を進めているのでしょうか。

再放送ではカバーできない層への訴求

 もともと連ドラは、1話完結型の刑事・医療・法律ドラマなどを除いて、「1話見逃したらついていけなくなる」「途中から新たな視聴者を獲得するのは難しい」などと言われていました。

 実際、現在放送中の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)も、見逃した人や新たな視聴者に向けた「まだまだ間に合う!最新話まで一挙放送」を16・17日の2夜にわたって全6話を再放送しました。また、民放も一挙放送ではないものの、見逃した人や新たな視聴者向けに、深夜帯や土日の午後帯で再放送しています。

 また、各局には、NHKオンデマンド、FOD、Hulu、TELASA、Paraviなどの有料動画配信サービスがあり、連続ドラマはその会員数を増やし、収入を得るための重要なコンテンツ。これまでは「ダイジェスト版を公開したら、会員数が増えないのではないか」「配信での収入を減らすようなことはすべきではない」という見方が大勢を占めていました。

 しかし、再放送はあくまでテレビ視聴者という枠の中での話に過ぎず、ネット中心の生活を送る人には訴求できていません。忙しくてなかなか時間が取れない人や、時間効率にシビアな若年層も含め、「短時間で見られるダイジェスト版で興味を持ってもらい、テレビでのリアルタイム視聴につなげよう」、さらに「自局の有料動画配信サービスで完全版を見てもらうきっかけにしよう」という狙いがあるのです。

 そんな狙いが明確に感じられるのは、朝ドラのダイジェスト版。もともと朝ドラは、総合テレビで8時~と12時45分~、BSプレミアムで7時30分~と23時~放送があり、さらに総合テレビで土曜8時~「1週間分のダイジェスト」、BSプレミアムで土曜9時45分~「1週間分の一挙放送」もあり、視聴機会の多さは群を抜いています。

 ただ、ネット中心の生活を送る人、忙しくて時間が取れない人、時間効率にシビアな若年層へのアプローチを考えたとき、「それだけ放送しても、まだ届いていない層があり、ダイジェスト版で訴求しよう」ということなのでしょう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

タイ警察の取り調べを受ける日本人詐欺グループの男ら。2019年4月。この頃は日本への特殊詐欺海外拠点に関する報道は多かった(時事通信フォト)
海外の詐欺拠点で性的労働を強いられる日本人女性が多数存在か 詐欺グループの幹部逮捕で裏切りや報復などのトラブル続発し情報流出も
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《虫のようなものがチャーシューの上を…動画投稿で物議》人気ラーメンチェーン店「来来亭」で異物混入疑惑が浮上【事実確認への同社回答】
NEWSポストセブン
6月9日付けで「研音」所属となった俳優・宮野真守(41)。突然の発表はファンにとっても青天の霹靂だった(時事通信フォトより)
《電撃退団の舞台裏》「2029年までスケジュールが埋まっていた」声優・宮野真守が「研音」へ“スピード移籍”した背景と、研音俳優・福士蒼汰との“ただならぬ関係”
NEWSポストセブン
小室夫妻に立ちはだかる壁(時事通信フォト)
《眞子さん第一子出産》年収4000万円の小室圭さんも“カツカツ”に? NYで待ち受ける“高額子育てコスト”「保育施設の年間平均料金は約680万円」
週刊ポスト
週刊ポストの名物企画でもあった「ONK座談会」2003年開催時のスリーショット(撮影/山崎力夫)
《追悼・長嶋茂雄さん》王貞治氏・金田正一氏との「ONK座談会」を再録 金田氏と対戦したプロデビュー戦を振り返る「本当は5打席5三振なんです」
週刊ポスト
打撃が絶好調すぎる大谷翔平(時事通信フォト)
大谷翔平“打撃が絶好調すぎ”で浮上する「二刀流どうするか問題」 投手復活による打撃への影響に懸念“二刀流&ホームラン王”達成には7月半ばまでの活躍が重要
週刊ポスト
懸命のリハビリを続けていた長嶋茂雄さん(撮影/太田真三)
長嶋茂雄さんが病に倒れるたびに関係が変わった「長嶋家」の長き闘い 喪主を務めた次女・三奈さんは献身的な看護を続けてきた
週刊ポスト
6月9日、ご成婚記念日を迎えた天皇陛下と雅子さま(JMPA)
【6月9日はご成婚記念日】天皇陛下と雅子さま「32年の変わらぬ愛」公務でもプライベートでも“隣同士”、おふたりの軌跡を振り返る
女性セブン
(インスタグラムより)
「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画…直後に入院した海外の20代女性インフルエンサー、莫大な収入と引き換えに不調を抱えながらも新たなチャレンジに意欲
NEWSポストセブン
中国・エリート医師の乱倫行為は世界中のメディアが驚愕した(HPより、右の写真は現在削除済み)
《“度を超えた不倫”で中国共産党除名》同棲、妊娠、中絶…超エリート医師の妻が暴露した乱倫行為「感情がコントロールできず、麻酔をかけた患者を40分放置」
NEWSポストセブン
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン
貴乃花は“令和の新横綱”大の里をどう見ているのか(撮影/五十嵐美弥)
「まだまだ伸びしろがある」…平成の大横綱・貴乃花が“令和の新横綱”大の里を語る 「簡単に引いてしまう欠点」への見解、綱を張ることの“怖さ”とどう向き合うか
週刊ポスト