硬貨を入れ、レバーを回し、ポンと出てきたカプセルを、「何が出るかな?」とワクワクしながら開けては一喜一憂する──このカプセルトイが、非接触で楽しめる手軽なエンターテインメントとして、コロナ禍で大ブームになっている。登場から57年、中身のおもちゃは進化し、大人も楽しめるようになったカプセルトイの、オモシロかわいい“いま”に迫る。
市場規模は過去、最大の450億円超
「コロナ禍で商業施設内の飲食店やアパレル関連のテナントが撤退。その空きスペースを有効活用しようと、電源要らず・店員要らずのカプセルトイマシンが多数置かれました。これが、いまのブームを後押ししています」
とは、日本ガチャガチャ協会の小野尾勝彦さんだ(以下「」内同)。コロナ禍で旅行が難しくなり、外出といえば、スーパーマーケットや商業施設での買い出しくらい。そこにカプセルトイマシンがあれば、回してみたくなるというわけだ。
「現在、カプセルトイの市場規模は過去最大の450億円以上に急成長しています」
子供から大人の女性へ客層が変わりヒット
日本にカプセルトイが登場したのは、いまから57年前。ペニイ商会がアメリカからマシンを輸入し、子供を対象に1個10円で販売し始めた。中身はキーホルダーや小さな人形が多く、レバーを回す楽しさ、何が出てくるかわからないワクワク感から、人気を博した。
「中のおもちゃは改良が重ねられ、1970~1980年代には『ウルトラマン』や『キン肉マン』などの特撮・アニメ作品の“ゴム人形”などが登場しました。この頃は小学生男子をターゲットにしていましたが、少子化の影響で、マーケットが縮小。これを打開しようと1995年頃から、大人の女性向けおもちゃが登場しました」
それまでは、大人の女性がカプセルトイマシンを回すのは「恥ずかしい」という意識が強かったが、ディズニーキャラクターなどのかわいらしいフィギュアがカプセルトイに登場し、客層が広がった。
「なかでも爆発的にヒットしたのが、『コップのフチ子』シリーズ。コップなどのふちに引っ掛けられるようにデザインされたOLのフィギュアで、そのユニークさは、大人たちを魅了しました」
その後の商品開発は、子供も大人も楽しめるものへと幅を広げ、いまでは毎月300種類以上の新作カプセルトイが発売されているという。
「カプセルトイは、完全受注生産で、売り切れると、基本的には再販しません」
だからこそ、いまあるうちに手に入れたいというコレクター魂をくすぐるのだろう。また、集めたカプセルトイの写真をSNSに投稿する人も増えた。