3月3日、女子ゴルフの今季開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」が始まる。“黄金世代”や“プラチナ世代”の人気選手が次々と誕生しているが、最近は優勝後に「親子」で喜び合うシーンを目にする機会も増えてきた。2人でどんな苦難を乗り越えてきたのか──サラリーマン家庭に生まれ国内メジャーVを成し遂げた三ヶ島かなを中心に「父と娘」の物語をお届けする。【全4回の第1回】
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昨年11月28日、名門・宮崎カントリークラブ(宮崎県)では女子ゴルフのシーズンを締めくくる最終戦、国内メジャー「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」の最終日が行なわれていた。
最終組、18番ホールのグリーン上にはウイニングパットを沈め、初優勝を祝う仲間に囲まれる三ヶ島かな(25)の姿があった。そして、グリーンを囲む観衆のなかに、人知れず涙する男性がいた。三ヶ島の父・直さん(51)だ。少し前まではキャディとしてバッグを担いできたが、この日は「娘を緊張させたくない」と会場を訪れることすら伝えずに、最後のパットが入る瞬間を人垣の陰から見守っていた──。
ここ数年、女子ゴルフはかつてない盛り上がりを見せている。国内ツアーは“女高男低”の様相で、2022年シーズンも男子の「25試合」に対し、女子は「38試合」を予定している。人気の理由は個性豊かな若手ゴルファーの台頭だ。
2019年にAIG全英女子オープンを制した渋野日向子をはじめ、原英莉花、畑岡奈紗ら1998年生まれの「黄金世代」や、さらに2学年下(2000年生まれ)の古江彩佳、西村優菜、安田祐香ら「プラチナ世代」、その「すき間世代」(1999年生まれ)で賞金女王に輝いた稲見萌寧など毎年のようにスターが生まれている。
「現在の若手は、別名『藍ちゃん世代』『さくら世代』とも呼ばれています。幼い頃に、宮里藍と横峯さくらが鎬を削って女子ゴルフを盛り上げた様子をテレビで観ていた世代です。
その父親はマイクロバスを運転しながら娘のキャディを務める横峯良郎さんを見てきた。昔はプロと言えば『裕福な家の子』か『たたき上げの練習生』と相場が決まっていたが、この辺りから普通のサラリーマン家庭からもプロが出てくるようになり、父と娘でプロを目指すスタイルの裾野が広がりました」(スポーツ紙記者)