東大前刺傷事件や大学入学共通テストでのカンニングなど、受験をめぐるトラブルが相次いでいる。教育現場ではいったい何が起きているのか。教育評論家の尾木直樹氏と脳科学者の茂木健一郎氏が緊急対談した。【全4回の第2回。第1回を読む】
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茂木:私のもとには、中学受験を控えた子のお母さんがよく相談に来るんですが、「うちの子は東大に入って、クイズ番組に出るような人になりたいって言うんです」と。
尾木:ええーっ? そんな子がいるのー?
茂木:いるんです。まだテレビには影響力がある。
尾木:それは悲しいわ。
茂木:受験教育が行きすぎた結果として、「東大信仰」が強くなりすぎているように思います。それにはメディアが煽っている側面が大きい。
尾木:東大で「学びたいことがある」と志して、勉強するのならいいんだけど……公の電波を利用するメディアには社会的な責任があります。
茂木:私は昔、『高校生クイズ』の司会をやっていたので、その頃から“東大王”伊沢(拓司)君を知っていますが、クイズをビジネスにつなげていくという、彼の戦略や生き方は素晴らしいと思います。ただ、彼自身も東大とクイズが結び付けられていることは、あまりいいこととは思っていないと聞いています。クイズはあくまで競技であって、本来東大だろうが何だろうが、関係ない。
尾木:東大を特別扱いしているのが問題です。
茂木:『高校生クイズ』にはクイズのガチ勢が集まってきて、進学校だろうが無名の高校だろうが関係なく、ガチンコでやることに価値があった。東大生が特別扱いされることは、ガチ勢にとって迷惑でもある。