各球団春季キャンプが終了し、いよいよオープン戦が本格化していく。V奪回を狙う巨人で、気になるのがエース・菅野智之頼みの先発陣だ。ここ数年はドラフトで獲得してきた投手のなかから、なかなか芽が出る選手が出てきていない。そこには何か原因があるのだろうか。球界関係者の間でも話題となっている。
先発ローテーションの役割を担う投手としては、昨年11勝とブレークした左腕・高橋優貴、2年連続9勝をマークした戸郷翔征が期待されるが、まだ本調子とは言えない。2月24日の練習試合・楽天戦では高橋が3回5安打1失点とピリッとしない内容。戸郷も6回2死一、二塁で和田恋の投直が股間付近に直撃して降板するなど、1回を投げ切れずに5安打4失点と打ち込まれた。
「高橋は昨季先発で結果を出しましたが、後半戦は疲労もあって打ち込まれるケースも目立った。今年の春季キャンプでも直球が走らずこのまま状態が上がらなければ開幕先発ローテーションから外れる可能性があります。戸郷も制球がアバウトな課題は変わらず、追い込んでから簡単に打たれることも多い。球界を代表する投手として勝ち続けた菅野は昨年6勝止まり。32歳で故障も多くなり、相手打者をねじ伏せる全盛期の投球を期待し続けるのは酷。菅野を脅かす若手の投手がどんどん出てきてほしいのですが……」(スポーツ紙記者)
セのライバル球団を見渡すと、広島は森下暢仁、栗林良吏、ヤクルトは奥川恭伸、高橋奎二、清水昇、阪神は高橋遥人、伊藤将司ら若手の成長株が順調に育っている。一方で、巨人の直近7年間のドラフトを見ると、一軍で活躍している投手が少ない。ドラフト1位を見ていくと2015年の桜井俊貴に始まり、吉川尚輝、鍬原拓也、高橋、堀田賢慎、平内龍太、昨年のドラフトは翁田大勢(登録名・大勢)を指名した。吉川を除いて7人中6人が投手だ。
高卒の堀田は1年目にトミー・ジョン手術を受けているので評価はできないが、大卒の桜井、鍬原、平内は球団の期待に見合う活躍ができているとは言い難い。スポーツ紙デスクが語る。
「桜井は2019年に8勝を挙げたが、翌年以降は不安定な投球で一軍に定着できず。鍬原もスリークォーターからサイドスローに転向するなど試行錯誤を繰り返し、現在は育成枠です。平内は新人の昨年3試合登板で防御率14.40と全く通用しなかった。制球力が課題なのにオフに5キロ増量して体重100キロに肉体改造するなど、強化するポイントがずれている印象。案の定、2月15日の日本ハムとの練習試合では、4連打を含む6安打5失点のメッタ打ちを食らった。この時期は打者より投手のほうが調整が早いので抑えて当然なのですが、制球が定まらず直球を簡単にはじき返されていた。今のままでは今年も厳しいかもしれません」
ドラフト1位に限らず、2019年ドラフト2位の太田龍、2020年ドラフト4位の伊藤優輔も故障の影響で一軍登板していない。伊藤は昨年11月にトミー・ジョン手術を受け、今年は育成契約を結んだ。