放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、同じ昭和23年生まれの前川清についてつづる。
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同い年の人が元気だとこちらも勇気をもらって嬉しくなる。同じ昭和23年生まれ、73歳の前川清と会ったが若々しいのにびっくり。同い年には五木ひろし、谷村新司、そしてなんといっても沢田研二と揃って一線である。コロナ禍ではあるがみんな歌い続けていることが心強いのだ。
以前テレビでやっていたクイズ「プロが選ぶ歌の一番うまい人は?」。
プロの歌手たちが選んだのだから興味がある。女性部門はぶっちぎりで皆様の予想通りMISIA。男性部門はさすがと思わせる玉置浩二、そして前川清。雑誌のアンケートでも「自分の書いた曲を歌って欲しい人は?」に上位はほぼ前川清。桑田佳祐、福山雅治らを筆頭に本職たちからもリスペクトされている前川なのだ。私はコメディ部門として萩本欽一と組んだ「コント54号」に一票。あのおかしみの味わいは天下一品なのだ。
ちょうど昨年の今頃、浜町の明治座で私の企画した東京喜劇公演を開催。田中美佐子とW主演で舞台をつとめてもらった。ドジなお殿様に爆笑した。そして今年も明治座で喜劇公演。前川清と藤山直美で人情喜劇『恋の法善寺横丁』と二部は前川清オンステージである。3月13日まで。
「去年の私のお芝居の時はあまり台詞も入ってなかったけど今回は?」「なに言ってんですか。相手はあの藤山直美さんですよ。キッチリ覚えないと。アドリブなんかありませんから」(本当か)。それよりも近頃は持ち歌の歌詞だってほとんど分からなくなってきたとトボける。「“そして神戸”なんかはコーベコーベって歌ってりゃゴマ化せるけどあとは分からないな」。
吉幾三がラジオで言っていた。「前川さんは“半畳歌手”って昔は言われてたんだから。ステージなんか半畳ありゃいいんだから。ピタッと動かないんだから」そうは言うが私が見た限りよく移動している。