3月6日に期限を迎える新型コロナ対策の「まん延防止等重点措置」の延長を政府に要請した大阪府。岸田文雄首相は3月3日夜に記者会見し、東京、大阪を含む18都道府県について措置を延長する方針を発表した。吉村洋文・府知事は「感染者は減少傾向にあるが、病床の逼迫は非常に厳しい状態が続いている」と述べるなか、その医療逼迫の打開策となるはずの「大阪コロナ大規模医療・療養センター」(以下、療養センター)の使用率が低調のままだ。
療養センターは、吉村府知事が「大阪で大規模な『野戦病院』を作る。どこまでできるか分からないが、できる限りやってみる」と意気込み、関西経済連合会の後押しもあってできた府知事肝いりの医療施設。国内最大の1000人を収容可能で、事業費は約84億円かかっている。
しかし、コロナの感染者・死亡者数が急増した2月には、使用率はわずか1%と報じられ、必要性を疑問視する声も飛び交った。3月に入っても使用率は低いままで、大阪府のホームページによると療養センターの使用率は5.6%(3月3日時点)だ。
『誰が「橋下徹」をつくったか―大阪都構想とメディアの迷走』の著者でノンフィクションライターの松本創氏が語る。
「現在、療養センターを使用する人はほとんどいません。陽性者は自宅療養を選択する傾向にあり、プライバシーのない療養センターよりも、まだホテル療養のほうが良いと言っていると聞きます。ただ、そのホテル療養もうまくマッチングができておらず、使用率は高くない」
大阪府のホームページによると宿泊療養施設の使用率は23.0%(3月3日時点)で、療養センターよりは高いものの、十分な使用率とは言いがたい。療養センターとホテル療養の使用率が低い理由について、松本氏はさらに大阪府のコロナ対策問題が根本にあると語る。