3月13日に初日を迎える大相撲春場所。昨年はコロナ禍で両国国技館(東京)での開催だったため、大阪(エディオンアリーナ大阪)での開催は2年ぶり。有観客の大阪開催は3年ぶりだ。
しかし、力士ら協会員にコロナ陽性者が多数出ている。相撲協会は2月9日、横綱・照ノ富士や新大関・御嶽海を含め初場所後に累計252人が陽性になったことを発表。
そうした状況で、感染拡大が続く大阪での本場所開催となるのだ。
「大阪は第6波以降の累計死者数が東京の2倍。病床も逼迫している。それだけに力士は現地での外出を禁じられ、部屋の稽古見学、激励会、打ち上げなど外部との接触は一切禁止。祝儀や差し入れも期待できず、本来はドル箱の地方開催の旨味が全くない」(若手親方)
これまでに幕内力士42人のうち21人が陽性となっており、興行として成立するのかも懸念される。
「協会は2週間もあれば全快し、一度感染すれば抵抗力がつくので間に合うと安心しきっているようだ。ただ、初日までに全員にPCR検査を受けさせるから、陽性者が出ればその部屋は全員が休場です。クラスターが発生して休場者続出のリスクは大きい」(担当記者)
綱渡りでの大阪開催には、協会の“懐事情”が関係していそうだ。
「国技館はイベントで使えず、大阪場所をキャンセルすれば7000万円の補償や施設使用料を支払う必要がある。当然、中止になれば5億円とされるNHKの放映権料も入らない。この2年のコロナ禍で協会は大赤字だからとても耐えられない。
とはいえ、チケットの売れ行きは芳しくない。茶屋が売る15日間通しの常連客の動きが悪いようだ」(前出の若手親方)
大阪在住の出羽海一門のタニマチのひとりはこんなふうに話す。
「2年続けて大阪での観戦ができなかったことで愛着が薄れた人は少なくないし、タニマチには高齢者が多いため会場に行くことを敬遠する人もいる。2年前は直前に無観客が決まったので、詳しい人ほど静観している」
開催を強行しても中止に追い込まれても、茨の道が待っているのだ。
※週刊ポスト2022年3月18・25日号