長引く自粛生活で在宅時間が長くなる中、癒しの存在として、ペットを飼い始める人が増えているというが、愛するペットを守るのは飼い主の役割。日常生活の中にも気をつけなければならない場面も多い。たとえば、家の中で最もペットのけがや事故が起きやすい場所は“台所”だという。日本国際動物救命救急協会代表理事のサニーカミヤさんはこう話す。
「床に落ちた玉ねぎを食べて中毒症状を起こしたり、揚げ油が目に入り眼球にやけどを負った子も。また、飼い主が食材を切っているときに携帯電話に手を伸ばし、まな板と包丁を落として、下にいたペットに大けがをさせた事故もありました」
さらに、飼い主の足元にいたために、誤って踏まれてけがをした犬もいる。
「飼い主は鍋を持っていて足元が見えず、犬の背中を踏んでしまったのです。その子は歩けなくなりました」(サニーカミヤさん)
台所は包丁や火、中毒を起こす食材など危険物が多い。さらに、飼い主も料理に気を取られ、ペットに注意がいかない場合も。このような事故をなくすためにも、台所の入り口にペットゲートなどの柵を置いて、台所に入れないようにしておきたい。
タクシーの利用時はペットシーツ
救命処置を施しながら、動物病院へ搬送するわけだが、その手段として、自家用車やタクシーなどがある。自家用車の場合、搬送中も処置を継続する必要があるため、1人が運転し、もう1人は処置ができるよう2人体制が望ましい。1人の場合は、タクシーを利用するのがおすすめだ。
「ほとんどのタクシーはペットの同乗を受け入れてくれますが、場合によっては乗車を断られることもあるので、普段からペットを乗せてくれるタクシー会社を少なくとも2社ほど利用しておき、連絡先をスマホなどに登録しておくことが大切です」
さらに、タクシーを利用する際は、座席にペットの毛や血液、吐しゃ物などが付着する可能性があるので、ペットシーツを敷いてから乗車するなどの配慮も忘れないこと。
「万が一のとき、どの方法で動物病院まで搬送するか、あらかじめ計画しておくことが大切です。特に大型犬の場合、体が大きくて、タクシーに乗車できない可能性もあるので、家族や知人の協力が必要になるケースもあります。そういった依頼も日頃からしておくと安心です」
取材・文/鳥居優美
※女性セブン2022年3月17日号