開幕を迎えた女子ゴルフの国内ツアー。今季からは大きな変化がある。「賞金女王」がなくなるのだ。
賞金ランキング上位50人までに翌年のシード権が与えられる仕組みが廃され、代わりに各大会の成績をポイント化した「メルセデス・ランキング」でシード権が決定。同ランキング年間1位の選手が最優秀選手賞として表彰され、4年間の長期シードが付与される。
「昨シーズンは移行期間で、2つのランキングそれぞれの50位以内にシード権が与えられたが、今季から一本化される。メルセデス・ランキングにはその大会の賞金額は関係なく、決勝に進出した選手に順位でポイントがつく。3日間競技を基本に、4日間競技は1.5倍、国内メジャー大会は2倍、米女子ツアーのメジャー大会は4倍のポイントになる。賞金額は大会ごとにかなり違うので、高額の試合で勝った選手が有利になるといった点を是正する狙いなどがある」(ツアー関係者)
昨季の賞金女王は稲見萌寧(22)だが、メルセデス・ランキング1位は古江彩佳(21)。終盤戦の楽しみも変わりそうだが、そもそもなぜ、「メルセデス」が冠なのか。
同ランキングが誕生したのは2012年。JLPGA(日本女子プロゴルフ協会)とメルセデス・ベンツがオフィシャルパートナー契約を結び、1位の選手が最優秀選手賞として表彰され、賞金500万円とベンツがプレゼントされるようになった。「ツアーを1試合開催するスポンサーになれば賞金含め3億円かかるとされるが、オフィシャルパートナーはその数倍といわれている」(担当記者)という。
JLPGAの公式ホームページにはメルセデス・ベンツから〈ジュニア育成活動への協賛など(中略)包括的にサポートしていただいております〉とあり、相当な“支援”があることが窺える。
超大口のスポンサーだからこそ、「年間女王」の冠となれるのである。ちなみに男子にもメルセデス・ランキングはあるが、女子より後発でシード権決定とは関係ないため、「賞金王」のまま。
一本化されて初の“メルセデス女王”は誰になるのか。
※週刊ポスト2022年3月18・25日号