韓国大統領選挙(3月9日投開票)は、保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補が革新系与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補を接戦で破り、第20代大統領に選出された。5年ぶりの政権交代に沸く韓国だが、一方で「不正選挙」を訴える声が噴出する異例の事態になっている。
「全国各地で杜撰な投票管理の実態が相次いで明るみに出ており、SNSでも“こんな選挙で民意が正しく反映できるのか”と不満の声が溢れているんです」(在韓ジャーナリスト)
最初のミスは「期日前投票」で起きた。京畿道水原市の期日前投票会場で、すでに特定候補の名前の横に印の付いた投票用紙が有権者に配布されたことが判明したのだ。京畿道選挙管理委員会の関係者は「選挙スタッフが、記入済みの投票用紙を投票箱に入れたものと勘違いし、間違えて有権者に渡してしまった」と現地メディアに釈明した。
その後、京畿道の別の投票所では、有権者1人に投票用紙が2枚渡されていたことが発覚。さらには期日前投票を済ませた有権者に、9日の本投票で再び投票用紙が交付される失態もあった。この有権者は本投票の投票所で身分証明書を提示したところ、投票所のスタッフから投票用紙を渡されたため自身が事前投票済みであることを伝えたという。この件では地域の選管委と警察が調査に乗り出している。
「忠清北道清州市の投票所では、共に民主党に所属する現職市議が投票立会人として加わっていた事実も判明しました。公職選挙法で現職議員は立会人になれないことが定められており、国民の力は『不正選挙の試みだ』と猛反発しました」(同前)
そのほか、一部の投票所では、投票用紙を入れる封筒内に、すでに他者が記入済みの投票用紙が入っているなどのミスが続出し、再投票が行なわれたケースもあった。沸き上がる不正選挙議論に対しては、韓国有力紙の中央日報が社説で〈選管の無能と気の緩みが表れた惨事〉と断じたほどだ。別の在韓ジャーナリストが語る。