大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で源頼朝の妻・北条政子を演じる小池栄子(41)。共演者から「場の空気を全部持って行っちゃう」と言われるほどの存在感を放つ女優はいかにして生まれたのか。共演者、監督らの証言から誕生秘話を解き明かす。【前後編の後編、前編を読む】
どんな役でも品がある
「表現力をつけさせたい」と考えた芸能事務所イエローキャブ元社長の野田義治氏(75)は、小池を舞台に売り込んだ。そして2002年、小池はラサール石井作・演出の舞台『ライアー・ガール』で初主演を果たす。ラサール(66)が語る。
「彼女がまだ深夜ドラマに1、2本しか出ていなかった時期でした。印象的だったのはグラビアで体得した身のこなしと力強い瞳でした」
『ライアー・ガール』は、人生に疲れた冴えない中年男性が若返りの薬を飲み、なぜかナイスバディのギャルに変身してしまうというコメディだ。
「中年のサラリーマンが突然、若い女性に変わってしまう。驚いて自分のおっぱいをガーッと触って『なんじゃこりゃ!』と言うんだけど、彼女はそこで大きな笑いを取っていた。初舞台なのに大したものですよ。何をやっても品があるから、下ネタでもイヤらしくならない。これはコメディエンヌとしてはとても重要な要素なんです」(ラサール)
感心したのは、演技力だけではなかった。
「とにかく肝っ玉が据わっていて、度胸があった。お金を儲けたいとか有名になりたいとかではなく、演技が上手くなりたいという純粋な思いを感じました。主役・脇役にこだわらず、どんな役もしっかりとやってきたからこそ、今の彼女があるんじゃないかな」(ラサール)
お芝居の先に夢がある
2006年に『カンブリア宮殿』(テレビ東京系)のMCに抜擢され、他のバラエティ番組でも活躍するかたわら、小池は女優としても徐々に頭角を現わしていく。
過去に共演した草刈正雄(69)も「ダイナミックで存在感がある」と評する。
そんな小池が本格女優へと飛躍するきっかけになったのが、2009年に出演したドラマ『スマイル』(TBS系)だった。