約2万人の死者・行方不明者を出した東日本大震災から11年が経った。大地震はいつ発生するかわからない。家の中で被災した場合、まず重要なのが、落下物や転倒物から離れることだ。危機管理アドバイザーの国崎信江さんは言う。
「震度5以上の強い揺れの場合、リビングなら、テレビや花瓶、引き出し、時計などが文字通り“飛んで”きます。キャスター付きの棚などは家中を走り回ります。いずれもぶつかれば大けがにつながりますから、もし私が家の中で被災したら、わが家で最も安全な“廊下”にすぐ出ますし、家族にもそうするよう伝えています」(国崎さん・以下同)
あらかじめ、何も置いていない、落下物の心配のない安全な場所を作っておけば、いざというとき迷うことなく避難できる、というわけだ。国崎さんの家ではそれを廊下にしているが、廊下がない場合は、すぐに逃げやすい玄関を“家庭内避難場所”にしてもいいという。
「わが家の場合、揺れがひどくて動けず、廊下までたどり着けないケースにも備え、各部屋ごとに、“ここにいれば何も落ちてこないし、飛んでこない”という安全ゾーンを作っています。室内で身を守るときは、雑誌でもクッションでもいいので、身近にあるもので頭を守ることも、家族間で共有しています」
子供部屋で地震発生…
「子供部屋は、そこで寝て、学び、遊ぶため、机やベッド、本棚といった大型家具やおもちゃなどのものが多く、台所の次に危険な場所になりえます。ドアの前に本棚が倒れ、出口がふさがれてしまうこともあるため、私なら、台所同様、揺れたらすぐに部屋から出ますし、子供にも日頃からそのように伝えます」
乳幼児と一緒の際は、子供に覆いかぶさって守ろう。
子供だけで留守番中に地震発生…
「築年数の浅い鉄筋コンクリートのマンションや耐震性のある家で、かつ津波や土砂災害などの心配がないエリアであれば、親が帰るまで家の中の安全な部屋で待つように伝えておきます。倒壊の恐れがある古い木造の戸建てや災害危険区域内など、避難の必要がある家なら、“防災袋を持って隣の〇〇さんを訪ねて、一緒に避難所に向かってね”と打ち合わせしておきます」
取材・文/桜田容子 イラスト/尾代ゆう子
※女性セブン2022年3月24日号