スーパー戦隊シリーズの最新作『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』(テレビ朝日系、毎週日曜朝9時30分〜)が、様々な角度から反響を呼んでいる。2月9日に行われた制作発表会見では、主人公・ドンモモタロウ=桃井タロウ役を演じる俳優の樋口幸平が、製作陣が「革新的な作品を目指す」と意気込みを見せていることも明かした。番組プロデューサーに話を聞くと、同作ははっきりと「スーパー戦隊ものの枠を打破する」という目的をもって制作されたことがわかった。
『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』は、昔話の桃太郎をモチーフにした、シリーズ46作目となる作品。ドンモモタロウのほか、“お供”のサルブラザー(別府由来)、イヌブラザー(柊太朗)、キジブラザー(鈴木浩文)、さらにオニシスター(志田こはく)の5人がヒーローとなって、悪と戦う物語だ。
スーパー戦隊シリーズといえば「○○ジャー」というタイトルが定番。しかし今作では2012〜2013年に放送された『特命戦隊ゴーバスターズ』(テレビ朝日系)以来10年ぶりに“ジャーなし”のタイトルとなっている。その理由について伺ったところ、番組プロデューサーの白倉伸一郎氏は“あるジレンマ”を明かした。
「スーパー戦隊シリーズは今作で46作目。非常に長く支持をいただいていて、もはや国民的作品と言っていいと思うんですね。しかし一方で、長く愛され続けているからこそ、パロディ作品も多い。ご当地ヒーローや企業のキャラクター等々、『○○レンジャー』と呼称するものが世の中に溢れかえっているんです。
その結果、本家本元であるはずの我々のスーパー戦隊シリーズも、世の中に数多ある『○○レンジャー』の一つに見えてしまう。こうした状況をなんとか打破したいと思いました。もちろん内容においてパロディ作品よりも圧倒的にクオリティが高いものを目指すという前提はありますが、ネーミング自体もそろそろ考え直さなければ先に進めないなと」(番組プロデューサー・白倉伸一郎氏、以下同)
そんな『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』がモチーフとしているのは“桃太郎”。これまでのスーパー戦隊シリーズでは、恐竜や忍者、魔法など同時代の流行を取り入れることで注目を集めることもあった。
今作では桃太郎の“鬼退治”から、大ヒット作品『鬼滅の刃』の影響を見る向きもある。しかし番組プロデューサーの白倉氏によれば「全く考えていなかった」そうで、「後から気づいて、むしろ被らないように一生懸命気を配って作りました」とのことだ。