約2万人の死者・行方不明者を出した東日本大震災から11年が経った。地震が多い日本列島。今後発生するといわれている南海トラフ地震では、甚大な被害が予想されている。いざという時に備えて、地震発生時のシミュレーションをしておくことも重要だ。
もしも、外出先で被災したならば、まず、転倒、落下、移動するものから離れ、しゃがみこんでかばんなどで頭を守るか、頑丈そうな机があれば、下にもぐって身の安全を確保する。加えて、いま自分がいる建物が安全かどうか判断する必要がある。その基準は、建物が新しいか古いか、だ。防災アドバイザーの高荷智也さんが説明する。
「最新の建物は、免震→制震→耐震の順に地震に強いとされ、そのような建物でかつ鉄筋コンクリート造りならば、火災でも起きない限り、私ならその場にとどまります。しかし、1981年6月以前に認可を受けた旧耐震基準の建物は、木造、ビル、店舗を問わず倒壊する恐れがあります。いかにも古そうな木造建物の1階に自分がいたら、真っ先に外へ出ますね」
大事なことは、揺れを感じた瞬間、周辺で安全な場所を素早く見極めることだという。そのためには日頃から安全な場所をチェックする習慣をつけておいた方がいい。
「私自身、ホテルにチェックインしたら最初に避難経路や階段の位置を確認します。揺れてから考えて判断し、避難経路を探すのでは間に合いません」(高荷さん)
映画館で鑑賞中に地震発生…
「映画館やホールなどは、耐震性や耐火性が一般の建物よりも高いため比較的安全。慌てて移動する必要はありません。私なら荷物などで頭を保護し、姿勢を低くしてかがみます」(高荷さん)
怖いのが、 出入り口付近の“群集雪崩”だ。
「早く逃げたいでしょうが、私なら周囲の状況が確認できるようになった最後に逃げます」(高荷さん)