ライフ

侮辱罪が厳罰化へ 親権者が未成年に代わって賠償責任を負うことも

2021年9月14日、記者会見で刑法の侮辱罪厳罰化を法制審議会(法相の諮問機関)に諮問することを発表する上川陽子法相(時事通信フォト)

2021年9月14日、記者会見で刑法の侮辱罪厳罰化を法制審議会(法相の諮問機関)に諮問することを発表する上川陽子法相(時事通信フォト)

 ネット上の誹謗中傷で罪に問われることが多い「侮辱罪」は、現行の法定刑では「勾留(30日未満)か科料(1万円未満)」と軽いものだ。しかし2022年3月に決定した改正案によって、「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」が加えられ、公訴時効も1年から3年に延長になる。なぜ侮辱罪は厳罰化され、我々にどのような影響があるのか。SNS上の問題に詳しい成蹊大学客員教授でITジャーナリストの高橋暁子さんに聞いた。

 * * *
「Instagramに自撮り写真を載せたら、顔や体型についてコメントで悪口を言われた。『デブサイクすぎ。生きてる価値がない』とまで言われ、それからずっと落ち込んでいる」。

 あるときから急にInstagramの更新頻度が極端に落ちた首都圏に住む女子大学生に、最近はあまりアップしていないねと聞くと、心ないコメントを繰り返されたことを教えてくれた。このようなことをSNS上で言われて傷つく人は多い。

 一方、軽い気持ちで書き込んでしまったコメントが誹謗中傷に当たるのか、後で心配になって弁護士などに相談に訪れる人もいる。在宅ワークと通勤が半々くらいだという都内に住む30代の会社員男性は、みんなが面白がるかな、という程度の思いつきでTwitterにつけたリプライがきっかけで、相手が炎上していたことを気に病んでいた。

「これは誹謗中傷に当たりますか」「今になって心配になってきました」──。

 不安な気持ちを伝えたところ、自分と同じように相談にくる人が増えていると聞いてホッとしたものの、自分のコメントに問題がないわけではないということも分かって、いまも不安なままだ。

 彼のように、自分のネット上での振る舞いを思い返して不安になる人は少なくない。実際、恋愛リアリティー番組『テラスハウス』出演中だったプロレスラー木村花さんがネット上で誹謗中傷を受けて亡くなった後、相談機関や弁護士に、加害者からの相談が多数寄せられたという。

 相談を見ると、「軽い気持ちで投稿してしまった」「名誉毀損などのリスクが頭になく、興味本位で参加してしまった」など、軽い気持ちで書き込んでしまっていることがわかる。しかし、誹謗中傷された側は異なる。多くの人から攻撃的、否定的な書き込みをされた結果、亡くなってしまうなどの取り返しのつかないことも起きているのだ。

 ネット上で「死ね」「消えろ」などと書き込んだことがあるというある男子中学生は、「書き込むとすっきりしたし、顔が見えないから悪いことをしている気がしなかった。同じような書き込みもたくさんあったから、つい自分もやってしまった」という。本人は穏やかで、一見、そのようなことを書き込みそうには見えない生徒だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

現在はアメリカで生活する元皇族の小室眞子さん(時事通信フォト)
《ゆったりすぎコートで話題》小室眞子さんに「マタニティコーデ?」との声 アメリカでの出産事情と“かかるお金”、そして“産後ケア”は…
NEWSポストセブン
まさに土俵際(写真/JMPA)
「退職報道」の裏で元・白鵬を悩ませる資金繰り難 タニマチは離れ、日本橋の一等地150坪も塩漬け状態で「固定資産税と金利を払い続けることに」
週刊ポスト
精力的な音楽活動を続けているASKA(時事通信フォト)
ASKAが10年ぶりにNHK「世界的音楽番組」に出演決定 局内では“慎重論”も、制作は「紅白目玉」としてオファー
NEWSポストセブン
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
ショーンK氏
《信頼関係があったメディアにも全部手のひらを返されて》ショーンKとの一問一答「もっとメディアに出たいと思ったことは一度もない」「僕はサンドバック状態ですから」
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
ショーンK氏が千葉県君津市で講演会を開くという(かずさFM公式サイトより)
《ショーンKの現在を直撃》フード付きパーカー姿で向かった雑居ビルには「日焼けサロン」「占い」…本人は「私は愛する人間たちと幸せに生きているだけなんです」
NEWSポストセブン
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン