人物たちの顔半分のみをアップにしたモノトーン写真を並べ、「全員悪人」という一言だけのシンプルなコピーを真ん中に配置、タイトル文字をピンク色にする。これまでにないデザインにより強烈な迫力のインパクトを与えた映画『アウトレイジ』のポスターは以後、さまざまな形でパロディ的に使われ、親しまれている。時代劇研究家の春日太一氏が、『アウトレイジ』のポスターをデザインした中平一史氏に話を聞く。
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中平:以前、格闘技の大会ポスターでほぼ同じ構成でデザインされているものがありましたが、それはとても嬉しかったです。
──それだけ大きな発明ともいえるデザインでした。
中平:いくつものパターンを試作していったことの結果だと思います。この時もラフデザインはバリエーション含め最終的に三十から四十案ほど出しました。一つの概念にとらわれてしまうと、他のアイデアが出てきません。「他のパターンで考えたらどうなるだろう」という疑問符は絶えず残すようにしています。
ありったけのパターンを作っていって、そこからそぎ落としていくわけです。
──そうしたそぎ落とすスタイルは北野武監督の演出にも通じる気がします。
中平:北野監督はとてもシンプルなものが好きなので、「たぶんこの辺りに着地していくだろう」という流れを想定しながら進行させていきます。
こちらからは考えられる全てのアイデアを出すのですが、チームワークができているので仕事の流れとしてもスムーズで、凄くありがたいですね。
また常に指示が的確なので、モチベーションが下がることもありませんでした。