生命保険文化センターの実態調査(2021年)によれば、約9割(89.8%)の世帯が生命保険に加入し、年間に支払う保険料は平均37.1万円。月に3万円を超え、これを30年間払い続ければ1113万円にのぼる。マイホームに次いで「人生で2番目に高い買い物」と言われるのが、生命保険なのだ。とはいえ、それぞれの事情に応じた見直しを進めていけば、「月1万円」程度の保険料負担でも十分な保障となることは珍しくない。
たとえば妻と大学生の長女と暮らす会社員のA氏(58)は、終身保険300万円+定期保険特約1700万円の死亡保障に医療特約などを加えた「定期保険特約付終身保険」に加入し月2万8150円の保険料を払ってきた。
だが、あと2年で長女は独立。A氏が死亡しても妻に65歳まで年間120万円の遺族年金が支払われる。そこで定期保険特約を500万円に減額、医療特約などを解約したところ、保険料を月約9000円まで減らせた。
こうした見直しの際には「保険を販売しているところに相談してはいけない」とファイナンシャルプランナーの横川由理氏は言う。
「無料相談所が増えていますが、保険の販売もしているので“タダほど高いものはない”と肝に銘じたい。お金を払ってでも、保険販売していない中立的なファイナンシャルプランナーなどに相談したほうが結果的には安くなるはず」
ファイナンシャルプランナーの長尾義弘氏が言う。
「保険は年齢を重ねる過程で保障額を減らしていくのがコツ。子育ての負担が大きい40代で備えた保険を子供が大きくなってきた50代で見直し、子供が独立した60代でさらに保障額を減らせば保険料の負担も軽くなります」
“転ばぬ先の杖”が家計を圧迫しては本末転倒だ。賢く保険を見直したい。
※週刊ポスト2022年3月18・25日号