5年ぶりの政権交代が起きた韓国大統領選。日本に対して強硬姿勢をとり続けた文在寅・現大統領(69才)に代わって、保守派の尹錫悦氏(61才)が次期大統領に当選した。これに色めき立つ意外な人たちがいる。ARMYと呼ばれる、音楽グループ『BTS』の熱烈なファンたちだ。
「これで、『BTS』のメンバーの兵役が免除になるかもしれない……」
ARMYは、そう淡い期待を寄せている。韓国では18〜29才の男性に、最低でも1年半の兵役義務が課されている。
「これまでも『東方神起』や『BIGBANG』、『2PM』といったグループが、人気絶頂時に兵役でメンバーを欠き、“不完全”な状態で活動してきました。そうした過去を知っているARMYがやきもきしているようです。BTSのメンバーはまだ誰も兵役に行っていませんが、JINは30才を迎える今年12月までに入隊しなければなりません」(韓流ライター)
この兵役義務は、スポーツや芸術分野で国際的に顕著な成績を残すと免除される仕組みがある。
「ただ、芸術とエンタメの線引きは曖昧。そのため、米ビルボードチャート1位に輝くなど、韓国の国益に大きく貢献しているBTSは兵役を免除してもいいのではないか、という議論が巻き起こりました」(前出・韓流ライター)
現政権では、兵役期間の「短縮」は実現したが、「免除」までは進まず議論は沈静化。それだけにARMYは、「政権交代で、免除議論がもう一度盛り上がってくれれば」と期待に胸を膨らませているのだ。だが、こうした思いは主に国外のファンが多く抱いているといい、韓国国内では捉え方が異なるという。
「韓国人男性にとって、兵役を務めあげるのは誇りでもあります。国のために尽くす時間は大きな財産と考えられ、自分や身内の兵役免除を望んでいる人は少ない」(前出・韓流ライター)
作家で韓国事情に精通している康熙奉氏が解説する。
「その思いはBTSのメンバーも同じでしょう。彼らは韓国を代表する人気者として、アメリカの栄誉ある賞を受賞するなど、世界で活躍しています。そんな彼らが、仮に兵役免除となったら、批判も免れません。理想の兵役の形は『同伴入隊』の制度を使って、JINに合わせてメンバー全員が同時期に兵役に服すること。それなら、兵役による空白期間は最短の1年半で終えられる可能性があります」
“不在期間”があったとしてもARMYの心が変わることはなさそうだ。
※女性セブン2022年3月31日号