3月12日にスタートしたWOWOWドラマW『正体』に主演している亀梨和也(36才)。事件を起こして死刑判決を受けながら、移送中に脱獄して“逃げる男“を好演している。コラムニストのペリー荻野さんがその見どころについて独自の視点で解説する。
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『正体』が初回から飛ばしている。主人公の鏑木慶一(亀梨和也)は、ある夫婦の殺人事件の現場で逮捕され、死刑宣告を受ける。
移送中に脱獄した鏑木は、姿と名前を変えて逃走しながら、潜伏した先で出会った人たちの危機を救うことになる。救われた人々は、彼が指名手配中の死刑囚と知っても「本当に殺人犯なのか?」と疑問を抱くのだった。原作は染井為人の小説。1話2話の演出は亀梨主演の「事故物件 怖い間取り」の中田秀夫監督である。
第1話では、鏑木は「遠藤」と名乗って、土木作業現場で働いている。労働環境は劣悪だが、ワケアリの労働者たちも多く、改善はされない。だが、遠藤は、同僚の野々村和也(市原隼人)と少しずつ動き出し、信頼関係を築く。二話以降も鏑木は冤罪に巻き込まれた弁護士(上川隆也)やオレオレ詐欺の被害にあった主婦(高畑淳子)らに関わることになる。
鏑木の事件の唯一の目撃者である夫婦の母親(黒木瞳)は若年性の認知症で事件のトラウマを抱える。出会うのは、一筋縄ではいかない事情の人ばかり。鏑木は問題を起こすのではなく、問題が向こうからやってくるのである。
鏑木は次々外見を変化させていく。一話の遠藤は、長く伸びた髪とメガネ、帽子を深くかぶっておどおどとした男で、護送の目を盗み、猛ダッシュで脱走した鏑木とはまるで別人のようで驚いたが、今後、鏑木は金髪青年や眼帯をした姿で出てくる。
ここ数年、亀梨は『ストロベリーナイト・サーガ』の菊田刑事をはじめ、『レッドアイズ 監視捜査班』の特別捜査官、『正義の天秤』の変わり者弁護士など、事件を追う側だった。追われる側になって、どんな男になるか。