昭和を知らない10~20代の間で「昭和レトロ」がブームとなっている。メロンソーダ、純喫茶、昭和ポップス──その波は、海を越えて中国にまで押し寄せている。中国に詳しいライターの話。
「いま中森明菜さん(56才)の存在が中国でカリスマ化されています。特に、彼女を真似たメイクが10〜20代の中国の女の子たちの間で大流行しているのです。SNS上には、どのようなポイントを押さえたら明菜さん風のメイクができるかを、わかりやすく紹介する投稿であふれています」
実は今回の中国での明菜人気は“第2次ブーム”。最初のブームは1980年代後半から1990年代にかけて起きていた。ただ、1980年代半ばまでは、中国で人気の日本人アイドルといえば山口百恵さん(63才)だったという。中国出身のジャーナリスト・周来友さんが当時を回顧する。
「日中平和友好条約締結後の1984年、『血疑』というタイトルで百恵さん主演のドラマ『赤い疑惑』が中国で放送され、大ブームになりました。あの頃の中国人にとって、日本人女性といえば百恵さんでした。中国人女性は、当時、いまほど垢抜けていなかった。自分たちと異なる洗練された姿に憧れたわけです」
その後、松田聖子(60才)、そして明菜も徐々に人気を獲得していくが、明菜のたたずまいは多くの中国人にとって衝撃的だったという。
「聖子さんのような王道アイドルは中国にもいましたが、明菜さんはほかにない存在でした。媚びるどころか、けだるそうな雰囲気で、不良少女のような歌詞を歌い上げた。中国人がまったく見たことのないタイプの女性で、男女問わず多くの人が彼女の虜になりました」(前出・周さん)
やがて昭和が終わり、平成、令和と時代が移り変わる間に、メディア露出が激減した明菜。しかしいま、彼女の人気が、中国国内で再び高まっている。ブーム再燃を牽引するのは、中国のSNS・微博でフォロワー780万人を擁する美容系インフルエンサーのRubyや、上海市を中心に活動するアイドルグループSNH48の元メンバーのジュー・ジンイーら、拡散力をもつ女性たちだ。