1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏が、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタート。先日、初出走を迎えた。週刊ポスト連載『エビショー厩舎』が話題の蛯名氏が、厩舎の看板馬を紹介する。
* * *
3月12日の阪神競馬場10レース飛鳥ステークスが蛯名正義厩舎の「初出走」でした。
レッドアルマーダはすでに6歳になりますが、まだキャリアは10戦。デビュー前に骨折するなど、けっして順調な道のりを歩んできた馬ではありません。
素質はあったのですが、体質が弱くて3歳のうちに勝つことができず、初勝利をあげたのは4歳5月の新潟。そこから3連勝するのですが、その後は休み休みでしか使う事ができませんでした。前走はおよそ1年ぶりの競馬でしたが、3着に頑張ってくれた。今回は一度使った上積みも見込んでいました。
スタートよく積極的に先行しましたが、直線で踏ん張り切れず7着。35年前、僕のジョッキーとしてのデビュー戦が15頭立ての14着でしたから、それに比べればよく頑張ってくれました(笑)。まずは無事に回ってきてくれてよかったと思います。
*
3月1日に開業して以来、厩舎にいる16頭だけでなく、外厩で英気を養っている管理馬の様子もチェック。どの馬も藤沢和雄厩舎を支えてきた素質馬ばかりなのでなかなか強者揃い。調教師を目指してから4年もお世話になり、藤沢先生からは「思ったほど早く試験に受からなかった」と言われてしまいましたが(笑)、その分1頭1頭の個性は把握してきたつもりです。
親分格はダービー馬レイデオロの全弟レイエンダでしょうか。4歳春にGIIIエプソムカップを勝って以来勝ち星がありませんが、前々走では勝ち馬から0.3秒と復活の兆しを見せてきました。厩舎では出入りする人間のことをよく見張っている感じ。気持ちが少し難しいけれど、おとなしい馬で、親分らしくどっしりとしています。今は障害練習をしています。