芸能

林家木久扇が見た「日曜夕方の伝説司会者たち」、その意外な素顔

林家木久扇(撮影・小倉雄一郎)

林家木久扇(撮影・小倉雄一郎)

 国民的長寿番組「笑点」(日本テレビ系)で、おバカキャラの“黄色い人”として大人気の林家木久扇さん。今日も日本じゅうに、バカの素晴らしさと底力を見せつけている。最新刊『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)が話題の木久扇さんに、座布団の上から見た歴代司会者の知られざる素顔を語ってもらった。(構成・石原壮一郎)

 * * *
 おバカのスーパースター林家木久扇です。おかげさまで、街を歩くと小さな子どもからも「あ、おバカの人だ」と指をさしてもらえます。こんなありがたいことはありません。

 ぼくが「バカ」を看板にできているのは、ひとえに「笑点」のおかげです。大喜利メンバーになって今年で足かけ54年目。番組や寄席でよくネタにしていますが、その間に5人の司会者を送りました。そのたびに香典代が3万円ずつ……。感謝の気持ちを込めて、偉大な5人の歴代司会者と今の司会者の春風亭昇太さんについてお話しましょう。

●初代司会者・立川談志さん(1966年5月~1966年11月)

 初代司会者は、番組の生みの親でもある七代目立川談志さん。当時、落語が何となく敷居が高い芸になりかけていました。談志さんには「どうにかしないと、このままじゃ落語が滅びてしまう」という思いがあったんですね。それで「笑点」を立ち上げたんです。

 談志さんが心配したように、もし「笑点」がなかったら、今ごろ落語はどうなっていたことか。先見の明がある人でしたね。まさに天才だったし、努力家でもありました。

「笑点」の大喜利は、牢名主のイメージなんです。時代劇を見てると、牢名主は新人の畳を取り上げて、それを重ねて高いところで威張ってる。そこからの発想です。談志さんはさらに、大喜利という場を落語の世界の長屋に見立てた。司会者は大家さんで、メンバーが店子。歌丸さんが小言幸兵衛、小園遊さんはキザな若旦那、こん平さんは田舎から出てきた権助と、それぞれ役を割り振りました。

 ぼくが大喜利メンバーになったのは、談志さんが衆議院選挙に立候補するからと司会を降りた次の週からです。ただ、その前から若手大喜利に出してもらったり、同じプロダクションでアドバイスを受けたりしていました。「笑点」のスタッフにぼくを推薦してくれたのも談志さんです。レギュラーメンバーになってから、談志さんに「木久蔵は与太郎だよね。その線で行ってみな」と言われました。そこでぼくの進む道が決まったんです。

 味方も敵も多い人でしたが、すごい人であるのは間違いありません。ぼくや「笑点」にとってはもちろん、落語界にとっても大恩人です。

●二代目司会者・前田武彦さん(1969年11月~1970年12月)

 立川談志さんのあとを受けて二代目司会者になったのが、放送作家から売れっ子タレントになった前田武彦さん。談志さんの推薦だったそうです。同じ時期に「巨泉×前竹のゲバゲバ90分!」や「夜のヒットスタジオ」にも出てらっしゃいました。

 司会がマエタケさんになったのと同時に、ぼくも大喜利のレギュラーになったんですけど、最初は右も左もわからず、あんまりおもしろい答も言えませんでした。「木久蔵は降ろしたほうがいい」という声もあったようです。「自分が好きなものをネタにするといいんじゃないか」という先代の円楽さんの助言もあって、半ば破れかぶれで、鞍馬天狗の声色で「杉作、ニホンの夜明けは近い!」と言い始めました。それが大ウケしたんです。

 マエタケさんは器用で頭の回転も速い方でしたが、発想やリズムがバラエティ番組っぽくて、落語の世界のそれとはどうしても違いがある。メンバーにはちょっと不満があったようです。お互いにやりづらかったんじゃないでしょうか。でも、鞍馬天狗のネタを拾って伸ばしてくれたのは、マエタケさんです。とっても感謝してます。

 マエタケさん時代に生まれたのが、大喜利メンバーのカラフルな着物と、今も流れているオープニングテーマです。オープニングテーマは中村八大さんの作曲で、今はメロディしか流れていませんが、歌詞もあるんです。「ゲラゲラ笑って見るテレビ」で始まるんですけど、作詞したのはマエタケさんで、ご自分で歌っていました。

関連記事

トピックス

広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
《事故前にも奇行》広末涼子容疑者、同乗した“自称マネージャー”が運転しなかった謎…奈良からおよそ約450キロの道のり「撮影の帰り道だった可能性」
NEWSポストセブン
筑波大の入学式に臨まれる悠仁さま(時事通信フォト)
【筑波大入学の悠仁さま】通学ルートの高速道路下に「八潮市道路陥没」下水道管が通っていた 専門家の見解は
NEWSポストセブン
広末は再婚へと向かうのか
「これからもずっと応援していく」逮捕された広末涼子の叔父が明かす本当の素顔、近隣住人が目撃したシンママ子育て奮闘姿
坂本勇人(左)を阿部慎之助監督は今後どう起用していくのか
《年俸5億円の代打要員・守備固めはいらない…》巨人・坂本勇人「不調の原因」はどこにあるのか 阿部監督に迫られる「坂本を使わない」の決断
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者(44)が現行犯逮捕された
「『キャー!!』って尋常じゃない声が断続的に続いて…」事故直前、サービスエリアに響いた謎の奇声 “不思議な行動”が次々と発覚、薬物検査も実施へ 【広末涼子逮捕】
NEWSポストセブン
「居酒屋で女将をしている。来てください」と明かした尾野真千子
居酒屋勤務を告白の尾野真千子、「女優」と「女将」の“二足のわらじ” 実際に店を訪れた人が語る“働きぶり”、常連客とお酒を飲むことも
週刊ポスト
再再婚が噂される鳥羽氏(右)
《芸能活動自粛の広末涼子》鳥羽周作シェフが水面下で進めていた「新たな生活」 1月に運営会社の代表取締役に復帰も…事故に無言つらぬく現在
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
《病院の中をウロウロ…挙動不審》広末涼子容疑者、逮捕前に「薬コンプリート!」「あーー逃げたい」など体調不良を吐露していた苦悩…看護師の左足を蹴る
NEWSポストセブン
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン