ここ数年、キー局の人気女性アナウンサーが退社してフリーになるケースが増えたが、女子ゴルフ界でも大物の“フリー転身”が注目されている。
ダイナミックなスイングで人気のゴルファー・原英莉花(23)だ。女性アナはテレビ局を退社すれば他局に出演できるが、アスリートの場合は少々複雑になる。
一般にプロゴルファーは所属する企業とは別に、特定のメーカーと使用するクラブの契約をしていることが多い。原も所属先は日本通運でクラブは長らく「ミズノ」と契約しており、ウェッジとパター以外はミズノを使用していた。だが、今季からそのクラブ契約を解消したのだ。プロゴルファーの沼沢聖一氏が解説する。
「原プロの実績があれば、デメリットは少ないと思います。ツアーを転戦していれば、他のプロが使うクラブを『使ってみたい』と思うのは当然です。メーカーと契約すると充実したサポートを受けられますが、『新製品を使ってほしい』と言われてそれが合わずに成績を落とすこともある。契約金は受け取っていたと思いますが、お金よりも成績を追い求めたのでしょう」
女子プロきっての“飛ばし屋”として知られる原は、早速ドライバーを米国の「キャロウェイ」に変更。試合に出場する際に着用していたキャップもミズノからアパレルブランドの「パーリーゲイツ」になった。
この変化に「つらいですよ……」とこぼすのは、ミズノ関係者だ。
「クラブやグッズは契約している有名プロが優勝すると売れ行きにも大きく影響します。特にドライバー。原プロもそうですがクラブ契約とキャップの使用がワンセットになっているケースが多い。目につきやすいキャップのロゴがメーカーとして大きなアピールになっていた面があるので、人気選手が離れるのは痛い」
メーカーと契約すれば、試合会場で細かなメンテナンスや調整などのサポートも受けられる。フリーを選べるのは“実力者の証”とも言える。
女子プロ界では、原と同じ黄金世代の高橋彩華(23)もフリーに。昨季の賞金女王・稲見萌寧(22)も「今よりも100%良くないと変えない」と語るほどこだわりを持っており、クラブ契約フリーを貫いている。
より高いレベルを求めて今後も「フリー転身」が加速するかもしれない。
※週刊ポスト2022年4月1日号