大相撲の春場所がエディオンアリーナ大阪で3月13日から開催されている。2020年は新型コロナ禍で異例の無観客での場所開催、2021年は東京・両国国技館での開催となったため、大阪の本場所で観客を入れるのは3年ぶりとなる。そうしたなかで、会場でのグッズ販売に、異変が見て取れた━━。
春場所の入場者の上限は定員の75%にあたる5600人に設定され、初日には5000人のファンが声援を送った。春場所を観戦に来た浪速っ子の間で話題になっている相撲土産がある。元横綱の北の富士が作った特製カレーを再現した「横綱北の富士カレー」と白鵬の土俵入りのイラストが入った「銀座・鵬 まかないカレー」である。話題になっているのは、その中身の味よりも、相撲協会の商品への扱いである。
相撲協会では2020年から「相撲公式グッズ」として親方衆がプロデュースしたり、企業とコラボしたりした商品を本場所の会場で販売している。相撲担当記者が言う。
「コロナ禍で売上が落ち込んだ相撲協会では、対策のひとつとして人気力士のオリジナルグッズの製造販売を始めた。人件費を抑えるために元力士の若手親方や世話人に店頭で直接販売させているが、予想外の効果があった。元豊ノ島の井筒親方など、まだ髷がついた人気力士から手渡しされるため、常に行列ができている」
相撲協会の公式キャラクターの「ひよの山」の関連グッズはじめ、人気力士がパッケージになったキットカット、タオル、応援うちわ、クリアファイルなどがある。中でも国技館の地下食堂の人気メニューの味を再現した「国技館カレー」と「国技館ハヤシ」が人気商品となっているが、「国技館カレー」の発売1周年を記念して作られた「横綱北の富士カレー」は解説と同じく辛口だという触れ込みで常に人気ランキングのトップ3に入っているという。
春場所の会場でも1階の正面ピロティとチケットが不要な入口手前のエントランスの2か所には公式グッズ売店があり、ともに人だかりができている。ただ、訪れるファンからは首を傾げる声が聞こえてきた。
「初日に来た知人が“白鵬のカレー”を買ったというので、公式グッズ売店で探したが見当たらないんです。売り場に立っていた若手親方に聞いても“わからない”という。結局、相撲関連グッズを扱っている館内の売店にひっそりと置いてあるのを見つけました」(4日目に観戦に来た男性)