卒業式の合唱曲の定番となっている『旅立ちの日に』。1991年に埼玉県の秩父市立影森中学校で誕生した楽曲だ。この曲の作曲者である、現・埼玉県立秩父特別支援学校音楽教師の高橋浩美さんに、当時の誕生秘話を聞いた。
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この歌を作詞された、いまは亡き小嶋登先生は、当時“歌声が響く学校”というスローガンを掲げ、学校全体をリードしていた校長でした。その小嶋校長が退職の年、最後の卒業生へのサプライズで何か一緒に作りたいと思い、作詞を依頼したのがきっかけです。
最初は軽く断られたのですが、次の朝学校へ行ってみると詞ができていた。一晩で書いてくださったんですね。もう、素敵な言葉がちりばめられていて、私もすぐに音楽室へ駆け上がり、15分で作曲しました。
そんな学校へのプレゼントのつもりで作った曲ですが、その後、合唱曲にアレンジをしたら、『教育音楽』という雑誌でも紹介され、口コミでどんどん広がっていきました。いまでは全国で歌われていて、本当にありがたいと思っています。
取材・文/北武司
※女性セブン2022年3月31日号