国際情報

ロシア軍「無差別攻撃」報道に隠された意図 西側陣営が仕掛ける情報戦

ロシア軍による「無差別攻撃」が盛んに報道される背景とは(ウクライナ・キエフ郊外から上がる黒煙。3月19日。AFP=時事)

ロシア軍による「無差別攻撃」が盛んに報道される背景とは(ウクライナ・キエフ郊外から上がる黒煙。3月19日。AFP=時事)

 ウクライナ市街地の病院や学校などに対して、ロシア軍の激しい無差別攻撃が行なわれている。国連人権高等弁務官事務所は3月18日、ウクライナの民間人の死者が816人、負傷者が1333人になったと発表。実際の犠牲者数はこれを大幅に上回っていることが予想され、これまでに数千人規模の民間人の犠牲者が出ているとみられる。核施設への攻撃など国際法違反を指摘されているにも関わらず、なぜロシア軍は「無差別攻撃」を続けているのか。

「すべての情報には必ず裏があります。インテリジェンス(いわゆる諜報)の観点からそれらを読み解くと、リアルな戦況が読み取れます」というのは、国際ジャーナリストの山田敏弘氏だ。ニュースを通して、毎日伝えられる戦況の裏から読み取れる事情とは──。

「“長距離からの無差別的な砲撃が行なわれている”という報道から、ロシアがウクライナの制空権を握れていないことがまず読み取れます。現代の戦争では、相手国のレーダーシステムを掌握して制空権を握ることから軍事作戦が始まります。防空システムを混乱させたうえで、レーダーで戦闘機を捕捉されないようにして空からの爆撃を仕掛けるわけです。

 さらに、ロシアの衛星システムが何らかの理由で機能していない可能性もあります。通常はGPSなどで目標に正確に誘導して攻撃する『精密誘導ミサイル』などが使われるはずですが、ロシア軍は民間の建物から核施設まで、見境なく攻撃しているように見える。そのことから、ロシア航空宇宙軍が管理する『グロナス』という衛星システムが抑えられている可能性が考えられます」(山田氏)

 当初、ロシアは24時間以内にウクライナの領空を制し、36時間以内に通信網を破壊。48時間以内に首都・キエフを占領し、72時間以内にトップを代えるという4段階の計画を立てていたが、その達成はおろかロシア空軍の動きは低調なままだ。国境付近に控えているとされる約300機の戦闘機は鳴りを潜め、小編隊での攻撃に終始するなか、3月5日に5機のロシア空軍機が撃墜されている。そういった戦況を受け、3月12日にCNNは「米国防総省高官がウクライナ軍の地対空ミサイルによる防空戦術を評価」と伝えた。現在、「ロシア空軍の苦戦」は西側メディアで盛んに報じられている。その背景を山田氏はこう読み取る。

関連記事

トピックス

不倫報道の渦中にいる永野芽郁
《私が撮られてしまい…》永野芽郁がドラマ『キャスター』打ち上げで“自虐スピーチ”、自ら会場を和ませる一幕も【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
(SNSより)
「誰かが私を殺そうとしているかも…」SNS配信中に女性インフルエンサー撃たれる、性別を理由に殺害する“フェミサイド事件”か【メキシコ・ライバー殺害事件】
NEWSポストセブン
電撃引退を発表した西内まりや(時事通信)
電撃引退の西内まりや、直前の「地上波復帰CMオファー」も断っていた…「身内のトラブル」で身を引いた「強烈な覚悟」
NEWSポストセブン
女性2人組によるYouTubeチャンネル「びっちちゃん。」
《2人組YouTuber「びっちちゃん。」インタビュー》経験人数800人超え&100人超えでも“病まない”ワケ「依存心がないのって、たぶん自分のことが好きだから」
NEWSポストセブン
悠仁さまの大学進学で複雑な心境の紀子さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、大学進学で変化する“親子の距離” 秋篠宮ご夫妻は筑波大学入学式を欠席、「9月の成年式を節目に子離れしなくては…」紀子さまは複雑な心境か
女性セブン
品川区にある碑文谷一家本部。ドアの側に掲示スペースがある
有名ヤクザ組織が再び“義憤文”「ストーカーを撲滅する覚悟」張り出した理由を直撃すると… 半年前には「闇バイト強盗に断固たる処置」で話題に
NEWSポストセブン
現在は5人がそれぞれの道を歩んでいる(撮影/小澤正朗)
《再集結で再注目》CHA-CHAが男性アイドル史に残した“もうひとつの伝説”「お笑いができるアイドル」の先駆者だった
NEWSポストセブン
『THE SECOND』総合演出の日置祐貴氏(撮影/山口京和)
【漫才賞レースTHE SECOND】第3回大会はフジテレビ問題の逆境で「開催中止の可能性もゼロではないと思っていた」 番組の総合演出が語る苦悩と番組への思い
NEWSポストセブン
永野芽郁の不倫騒動の行方は…
《『キャスター』打ち上げ、永野芽郁が参加》写真と動画撮影NGの厳戒態勢 田中圭との不倫騒動のなかで“決め込んだ覚悟”見せる
NEWSポストセブン
電撃の芸能界引退を発表した西内まりや(時事通信)
《西内まりやが電撃引退》身内にトラブルが発覚…モデルを務める姉のSNSに“不穏な異変”「一緒に映っている写真が…」
NEWSポストセブン
入院された上皇さまの付き添いをする美智子さま(2024年3月、長野県軽井沢町。撮影/JMPA)
美智子さま、入院された上皇さまのために連日300分近い長時間の付き添い 並大抵ではない“支える”という一念、雅子さまへと受け継がれる“一途な愛”
女性セブン
交際が伝えられていた元乃木坂46・白石麻衣(32)とtimelesz・菊池風磨(30)
《“結婚は5年封印”受け入れる献身》白石麻衣、菊池風磨の自宅マンションに「黒ずくめ変装」の通い愛、「子供好き」な本人が胸に秘めた思い
NEWSポストセブン