いよいよ開幕を迎えるプロ野球開幕。江本孟紀氏、中畑清氏、達川光男氏という大物球界OBの3人が、本誌・週刊ポストの座談会に臨んだ。3人の順位予想は? そして、注目選手は? 【全4回の第4回。第1回から読む】
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江本:表向きの順位予想ではヤクルトとオリックスの優勝。2年連続優勝で初めて価値があるからね。ただ、おそらくコケるから、本音ではセは巨人、パはソフトバンクの優勝だと思っているけど。
達川:うーん、ボクは巨人は最下位予想なんですよ。去年の9月の戦い方を見たら弱すぎますよ。
中畑:あれは中田翔の影響があったと思うけどね。選手たちが試合に集中できない空気が敗戦につながったんでしょう。オープン戦を見る限り、それはかなりクリアできたんじゃないかと思う。中田が感謝の気持ちを持っているということが大きいよね。だから、オレの優勝予想は巨人。悪いけどOB会長なんでね。
達川:ピッチャーはおるんですか? 菅野も山口(俊)もメルセデスも厳しいと思いますよ。
中畑:たしかに10勝すれば10敗する投手陣ではあるんだよね……。
達川:その点、広島はピッチャーがええんです。森下(暢仁)、大瀬良(大地)、九里(亜蓮)は2ケタが期待できる。あいつらはブルペンに入ったらずっと投げ込んでいる。あと制球力がよくなってパームボールを習得した床田(寛樹)も勝つよ。
江本:広島のドラ6は? 鈴木誠也の穴を埋めるとか。
達川:末包(昇大)ですね。スイングだけは一流。ロングティをやらせると鈴木誠也より飛ばす。ただ、インコースの低めしか打てない(苦笑)。そこに投げてやると場外です。
中畑:巨人とのオープン戦で打ったホームランは凄かったね。
達川:だが当たらん。体だけは強くて昔の新井貴浩みたい。飛ばせるのは魅力ですけどね。
江本:日本ハムの話題ばかりだけど、パはやはりソフトバンクでしょう。
中畑:チーム力はナンバーワンだし、新監督の藤本(博史)は選手から慕われているらしいね。
達川:藤本はいい。マジメできっちりした前任の工藤(公康)と真逆。藤本監督になって変わったのは上林(誠知)。これは打つよ。工藤はピッチャーだからボール球を振ることをすごく嫌って上林と合わなかったけど、藤本はワンバウンドの球でも打てというタイプで生き返ったよね。柳田(悠岐)も藤本のために優勝すると張り切っている。
中畑:相当の信頼関係があるらしいね。
達川:二軍も三軍も見たことがあって、支配下だけでなく、育成までみんな知っている。裏方にも顔が利く。あと、新外国人のガルビスがいい。カルピスみたいな名前だけど、これがショートで、両打ちで足も速い。工藤は今宮(健太)をショートから外さなかったけど、もう絶対的な存在ではない。今宮がオープン戦でヘッドスライディングをしていましたが、初めて見ましたね。それぐらい必死になっている。
江本:ソフトバンクは適材適所で強いと思う。ぜひ、新庄の日本ハムばかりが目立つのではないシーズンにしてほしいね。
(了。第1回から読む)
【プロフィール】
江本孟紀(えもと・たけのり)/1947年、高知県生まれ。1970年に東映入団。1972年に南海へ移籍しエースとして活躍。阪神に移籍し、1981年の引退後は参議院議員、タレントとしてもマルチに活躍。
中畑清(なかはた・きよし)/1954年、福島県生まれ。1975年に巨人入団。ムードメーカーの「絶好調男」としてチームを引っ張った。引退後は2012~2015年にDeNA監督を務めた。
達川光男(たつかわ・みつお)/1955年、広島県生まれ。1977年、広島に入団し正捕手として活躍。引退後は広島監督や阪神などでコーチを務め、ソフトバンクでヘッドコーチとして日本一に。
※週刊ポスト2022年4月1日号