日本初の女性総理候補と目される政治家たちの本音を聞く連続インタビュー。第3弾に登場するのは、過去に何度も断念した自民党総裁選に昨年やっと出馬を果たした野田聖子・男女共同参画担当相(61)だ。「週刊ポスト」の新シリーズ《女性総理、誕生!》から飛び出したスピンアウト企画。第1弾(高市早苗氏)、第2弾(稲田朋美氏)に続き、ノンフィクションライターの常井健一氏が斬り込んだ。【全5回の第1回】
竹下登氏「悪名は無名に勝る」
──今日は週刊誌のインタビューです。
「ですね。ずいぶん私も叩かれてきましたけど」
──(この記事が載る)『週刊ポスト』ですか?
「他の週刊誌なんですけど、記者さんに『野田聖子と小渕優子の名前が出ると売れるんですよ』って言われたことがあります。もう、女性議員は面白おかしく叩かれる対象なので、自分たちの宿命なんだと納得するようにしています」
──そういう感覚って、先輩の誰かに教えてもらえるものなんですか。
「一年生議員の時に、生前の竹下登先生からいただいた言葉がずうっと自分の軸になっているんですけど、一つは『悪名は無名に勝る』。埋没することは永田町では死に等しいということ。もう一つは、『数字で勝負しろ』。女は子宮でモノを考えているというのが世間一般の理解だから、男の人たちにバカにされないように統計をもとに政策で押していけということ。少子化問題も、グラフを見れば一目瞭然なんだけど、みんな何となく気合いだ、気合いだの政治家が多い。私は数字を追いかけながら、法案を組み立ててきました。気合いよりも実務で見せる。だから、かわいげがないの(笑)」
──来年で初当選から30年を迎えますが、悪名をも「宿命」と受け止められるようになったのは、いつ頃からですか?
「子どもを産んだ頃かな。50歳で産みましたから、10年ぐらい前。子育てしていたら、些事に構っていられなくなった。まあ、やむを得ないんですよ。女性は数が少ないから、どうしても目立ってしまう。だから、大臣になれるのも早いということもあるかもしれないけれど、その分、攻撃される。男性の地味な議員だったら話題にならないことでも、女性だと記事に書かれやすい。そこは、もう天秤にかけて、数が少ないから仕方ないというのが帰結ですよね」
──それは、30年間変わってないですか?
「全然変わってないです。いまだに昭和。昭和って相当ディープなんだと思います。昭和の価値観が日本社会の随所にいまだに色濃く残っている。それで、若い男性も苦しんでいると思う」