コロナ感染者の全国最多状態からようやくまん延防止等重点措置(まん防)の解除にこぎつけた大阪だが、府議会や府庁内部には吉村洋文・知事(46)への不満が充満している。
3月17日には吉村維新が推進するカジノなどIR(統合型リゾート)区域整備計画案に賛成の立場の自民党から府議3人が異論を唱えて会派離脱するなど、コロナ対応でもIRでも、“吉村のウソにはもうついていけへん”とブチ切れ寸前のようなのだ。
不満の第一はコロナ対応の無定見ぶりだ。
コロナの感染拡大が始まった2年前、吉村氏は「大阪モデル」と名づけた独自の判断基準を打ち出して名を上げた。
だが、今回のまん防の解除にあたっては、府内の病床使用率が50%を超えており、大阪モデルの基準では「赤信号」だったにもかかわらず、吉村氏は解除に踏み切った。
山田けんた・大阪府議(立憲民主)が語る。
「府の新型コロナウイルス対策本部会議でも、専門家から『病床逼迫が改善されたとは言い難い』と慎重な意見があったのに、吉村さんは国にまん防の延長を申請しないことを決めた。赤信号を無視するなら大阪独自の基準を定めた意味がない。
それ以外にも、20~30代の新規陽性者数増加の度合いが一定基準を超えたら感染拡大の兆候があると判断する『見張り番指標』という新しい基準を作ったかと思えば、いきなり『医療非常事態宣言』を打ち出すなど、府民は何を基準にして感染拡大を把握すれば良いか、混乱させられている」
まん防解除の理由について府に聞くと「確かに赤信号ではあるのですが、大阪府では、新型コロナの対策本部会議等で検討した結果、感染者数も減少傾向にありましたので、(延長は要請せず)3月21日をもって一旦終わらせてもらったという経緯です」(政策企画部危機管理室)とのことだが、吉村氏に近い府議はこう言う。
「吉村さんはツイッターで毎日、大阪の新規感染者数などのデータをアップしていて、その中に『実質の重症病床使用率』があり、最近は20%台が続いている。
しかし、私がある医師から聞いた話では、施設入所中の高齢者がコロナに感染して症状が悪化したので、担当医が保健所に『入院させたい』と連絡したところ、『キャパがいっぱい』と断わられたという。『重症病床使用率が20%台なら、まだ80%ほどベッドは空いているはずだ』と担当医が尋ねると、『コロナ以外の患者さんが重症病床を使っているから、トリアージ(患者の選別)せざるを得ない』と言われたそうです。
そんな状況なら実質の重症病床使用率20%台なんて書くべきじゃないでしょう。まん防解除のために重症者が減っていることをアピールしたかったとしか思えない」