3月27日(現地時間)に行われたアカデミー賞授賞式の壇上で、俳優のウィル・スミスがコメディアンのクリス・ロックをビンタする場面があった。長編ドキュメンタリー賞のプレゼンターを務めるクリス・ロックが、ウィル・スミスの妻ジェイダ・ピンケット・スミスの髪型を揶揄するジョークを飛ばした直後の出来事だった。
ジェイダ・ピンケット・スミスは自己免疫疾患による脱毛症を公表しており、それだけにウィル・スミスの怒りを買ったのだろう。ジェイダ・ピンケット・スミスは現在50歳。スキンヘッドを楽しむ彼女の姿には、女性たちから「自分も髪の毛の悩みを抱えているので勇気をもらった」という声が寄せられている。
実は薄毛に悩む50代女性は多い。美容業界の関係者が明かす。
「今でこそ『地肌に優しいカラーリング剤』は当たり前のものですが、昔は地肌を痛める薬剤も少なくなかったと言われています。髪にダメージを与えるようなスタイリングもありますからね。公表していないだけで、薄毛に悩む40~50代の女性芸能人は日本でも実はけっこういますよ」
女性の薄毛治療も手掛ける「駅前AGAクリニック」東京新宿院の大藪顕医師は、「50代の方からの分け目の薄毛、つむじのボリュームに関するお悩みが多いです」と語る。同じ“薄毛”でも、男性と女性では違いがある。
「男性の薄毛は、男性ホルモン(テストステロン)の変異物質であるジヒドロテストステロンが原因の場合がほとんどです。一方で女性の薄毛は、ストレス、食生活、ホルモンバランス、ヘアスタイルなど複数の原因が考えられて、『これが原因』と簡単に断言しづらいのが特徴です。
そのため治療においても性別によって違いが生じます。ほとんどの男性の場合は、男性ホルモンの変異物質を抑える内服薬(プロペシア、ザガーロ)が治療の基軸となります。しかし女性の場合は、まず原因を突き止め、そこにアプローチする治療方法を考える必要があります」(大藪氏、以下同)
50代女性の薄毛の原因として、一般的には何が考えられるのか?
「閉経などにより女性ホルモンが減少したことで、女性に少量のみ存在する男性ホルモンが毛根を攻撃しているケースが考えられます。また、無理なヘアスタイル、過度なヘアケアが原因というケースも多いです」
ヘアスタイルやヘアケアの方法によっては、長年続けることで薄毛に繋がる可能性は大いにある。
「刺激の強い薬剤は使わないようにして、同じ分け目のヘアスタイルが続くことは避けましょう。牽引性の脱毛症を避けるため、ポニーテールなどのヘアスタイルは避けたほうがいいですね。リフトアップ効果を狙い、思い切り引っ張って髪を束ねることは頭皮にダメージを与えてしまう可能性があります」
正しい知識を身につけて、髪のオシャレを楽しんでほしい。