俳優、タレントの杉浦太陽さんは妻でタレントの辻希美さんと今年で結婚15年目。1女3男の父親でもある彼は、書籍『ママがもうこの世界にいなくても』の著者で、ステージIVの大腸がんと闘った遠藤和(のどか)さんを支えた夫の将一さんに共感した部分が多々あると話す。
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本は、和さんの視点で、日記形式で綴られています。耳あたりのいい“感動エピソード”だけではなくて、すごくよかった。夫婦の実情がしっかり描かれていると感じました。和さんは「遠藤さんとケンカした」とか「ムカつく」とかも書き記していましたが、男目線から「このとき将一さんはきっとこういう気持ちだったんだろうな」と感じた部分もありました。将一さんも、僕と同じように結婚当初は独身気分の抜けないところがあったのかもしれません(笑い)。
もちろん、将一さんはこれ以上できないというぐらい、和さんをしっかりと支えていたと思います。日記には、将一さんが夫、そして父親になるという自覚をもつ過程が鮮やかに描かれていました。特に和さんが妊娠してからは、それが日に日に色濃くなっていくのが印象的でした。
結婚して家族になると「幸せだからなんでもいい」とか、楽しいことだけを言っていられるわけではない。もっと現実的な問題と向き合うことになるわけです。子どものこと、老後のこと、親類縁者のこと、介護のことなど、なかには目を背けたいこともある。そういうことに一つ一つ、時間をかけて夫婦で向き合うことで、家族になっていくものだと思うんです
その点、遠藤家はものすごい急ピッチで絆を深めて、家族になったのだろうと感じました。和さんが21才でがんの宣告を受けてから24才で亡くなるまでの3年間で、闘病、妊娠、出産、育児を経験されたわけですから。
将一さんの目線で読んだ僕は、妻の家族との距離感にもとても共感しました。杉浦家は、妻の家族が徒歩圏内、僕の実家は大阪だから、和さんの実家の櫛引家が近くにいて、将一さんの実家は北海道というのは似たようなシチュエーションだなと。自分の家族より妻の家族との方が、距離が近くなるんですよね。
心の距離は、自然とは近くならないんですよ! 溶け込む努力はしました。頻繁に遊びに行ったり、一緒にお酒を飲んだり、買い物をしたり、旅行に行ったり。その結果、この15年で「家族」になることができたと思っています。