青森県出身の遠藤和(のどか)さんは、21才で大腸がんステージIVを宣告され、22才で結婚、23才で娘を出産。娘の1才の誕生日を見届け、2021年9月に24才でこの世を去った。女優の田中真琴さん(27才)は、和さんの日記をまとめた『ママがもうこの世界にいなくても』に「怖いくらい引き込まれた」という。「同世代に彼女の言葉を届けたい」と語る彼女に話を聞いた。
* * *
『ママがもうこの世界にいなくても』を読み始めたのは、夜も遅くなってから、23時も過ぎていた頃でした。
もちろん最初は一人の読者として読んでいました。でも、気づいたら、昔なじみの友達からLINEで、その日にあったことの報告を受けるような気持ちになっていました。この本が日記形式だからかもしれません。著者と読者というよりも、もっともっと近い距離で、話を聞いているようなイメージです。「大変なんだね」「大丈夫だよ」と心の中で相づちを打ちながら読み進めたら、もう止まらなくて、3時間超かけて夜中に一気読みしました。
胸が締め付けられるようなシーンもあったけれど、励まされるシーンもたくさんあった。のめりこんだぶん、つらくて、悲しかったです。次の日は夕方くらいまでお腹が空かなかったな……。
闘病記は、これまで何冊か読んだことがあります。だけど、ここまで私と共通点が多い方の本は初めてでした。和さんは、私と同じで「結婚したい」「子供が欲しい」という思いを持っている、同世代の“普通の女の子”でした。でも、突然のがんの宣告。自分ががんになるなんて考えたこともなかったけれど、まるで自分の身に起きたことのようにリアルに感じられました。
がんと診断されたときに、すでにステージIVというのは、本当に悔しかったと思います。私も和さんの影響で、少しでもどこかに痛みを感じたらすぐに病院に行くようになりました。この間も、夜眠れないくらい肩甲骨の下が痛んだので、怖くなって診察を受けたんです。結果はただの筋肉痛だったので大したことなかったんですけど、それでもホッと
しました。
自分の住んでいる地域の健診センターの予約もしました。「まだ若いから」とか言っていないで、健康診断はとにかく定期的に受けたほうがいいと感じたんです。
先述したように私は結婚したいと思っているのですが、結婚観も揺さぶられました。