2025年の開催(4月13日~10月13日)に向けて、槌音が響いている大阪万博。3月末には、日本維新の吉村洋文・大阪府知事と松井一郎・大阪市長が、ドバイ万博(アラブ首長国連邦)を訪れ大阪万博の招致活動を行なうなど、着々と準備が進められているように見える。しかし、運営主体の「日本国際博覧会協会」事務局の職員は、こう嘆息する。
「会場建設費は国、大阪府・市、経済界が負担しますが、事業運営費の大半は入場券の売り上げや企業の協賛金などで賄うことになっています。しかし現状、協賛企業は大阪府外にはほとんど広がりがなく、参加を表明している国も目標にしている150か国の6割ほど。このままでは万博ではなく“大阪物産展”になってしまいそうです」
同協会の再試算では、2020年末の段階で会場建設費は、当初計画の5割増、最大1850億円にまで膨らんでいる。これに菅政権下の昨年8月に、政府の国際博覧会推進本部の会合で決定したインフラ整備計画の事業費も乗っかってくる。
膨大な費用がつぎ込まれるなか、収支のカギとなるのは約2800万人を見込んだ入場者数だ。しかし、現在コロナ感染の収束は未だ見えず、さらにロシアのウクライナ侵攻問題なども国際情勢を揺るがせている。これらの問題がもし長期化すれば、入場者数への影響が出てくる可能性は高い。負担増を強いられる府民、国民からの反発は必至だ。
暗雲が垂れ込めている大阪万博には、さらに成功に水を差しかねない喫緊の問題が待ち受けている。今夏に行なわれる参院選である。大阪万博を主導する松井市長は、3月27日に行なわれた日本維新の会の党大会後の記者会見でこう述べた。
「維新という国政政党が全国で認知され、政策が支持されることが重要だ。大阪の行財政改革を広げるため、『大阪維新商店』を組織立った形に変えていく」
党大会では、参院選では比例得票数で立憲民主党を上回り、予算関連法案の提出に必要な21議席(非改選9議席含む)の目標も掲げられた。その上で、次期衆院選で野党第一党の地位を目指すとして、来年の地方統一選で大阪以外の地方議員の倍増(300人規模)による全国組織の強化を活動方針に盛り込んだ。維新が大阪の行政改革を進めるために、さらに党拡大を進める計画である。