開幕9連敗で43年ぶりにセ・リーグのワースト記録を更新した阪神。
「在阪スポーツ紙も頭を抱えています。阪神ファンは勝てばスポーツニュースを見て、翌日にスポーツ新聞も買うが、負けるとニュースも見ない。開幕7連敗で『V率0%』と報じられ、オフまでスポーツ紙を買わない虎党もいる」(元デイリースポーツ編集局長の平井隆司氏)
戦力的にはやはり、守護神・スアレスが抜けた穴が大きい。ヤクルト、巨人、阪神で4番を打った広澤克実氏が指摘する。
「スアレスの穴はわかっていたことですが、代役の新外国人・ケラーがこんな悪いとは思っていなかったのでしょう。なぜ、オープン戦でもっと色々と試せなかったのか。抑えができるかは、捕手の梅野(隆太郎)や坂本(誠志郎)に聞けばわかったと思いますよ」
矢野燿大監督にとって“一丸で戦うラストイヤー”のはずだった。キャンプイン前日の1月31日、「今シーズンをもって退任しようと思っている」と表明していたからだ。
だが、1960年代の阪神で捕手として活躍し、“ダンプ”の愛称で知られる辻恭彦氏は、この退任表明が士気を下げたとみる。
「選手はみんな去り行く監督に背中を向けていますよ。日本ハムは負けても選手が新庄監督に認めてもらおうと元気一杯のプレーをしているけど、阪神は選手がホームランを打っても矢野監督が前年までのような笑顔を見せない。選手もどうしていいのかわからないように見えます」
早くも関係者の間では、「矢野監督のままで今季を戦えるのか」という声が浮上しているという。
「阪神にとって監督解任騒動は“お家芸”だが、通常は『真夏のストーブリーグ』です。春先のここまで早い時期のストーブリーグはさすがに例がない」(平井氏)
実際に、フロントが更迭に動くことがあるのか。阪神の元球団社長・野崎勝義氏はこう言う。
「タイガースの場合、球団が率先してお家騒動を起こすわけではない。在阪メディアの報道次第で流れが変わるのです。“矢野休養か”といった過激な見出しが出始めると、試合どころではなくなる。今回も、球団が矢野監督に休養を勧めることはないだろうが、過去には監督が先に音を上げてしまうことがあった。1984年の安藤(統男)監督退団のケースでは、熱狂的な阪神ファンが監督の自宅に剃刀入りの脅迫状を送り付けたりして、監督だけでなく家族まで体調を崩し、退任となりました」