ライフ

小児へのワクチン接種の是非 医師も「全員に接種させるべきか“わからない”」

小児へのワクチン接種に医師はどう考えているのか(写真/共同通信社)

小児へのワクチン接種に医師はどう考えているのか(写真/共同通信社)

 3月から全国で小児(5~11歳)に対する新型コロナワクチンの接種が始まっている。首相官邸のホームページによると、4月4日の時点で約65万2541回(うち2回接種は8万8161人)の接種が完了している。対象となる小児は約741万人で、割合で言えば1回接種は約7.6%、2回接種は約1.2%。出足は鈍い。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師はこう語る。

「ほとんどの自治体が個別接種のみで対応していることもありますが、接種率は想定より低いですね。米国やカナダ、フランス、イスラエルなどでも先行して始まっていますが、海外でも小児接種は成人接種と比べて低調です」

 懸念されるのが接種による副反応だ。3月18日、厚労省がワクチン分科会副反応検討部会に提出した資料によると、2021年2月17日の接種開始から1571件の死亡が報告されている。

 この部会において、小児接種についても初めて報告が上がり、3月11日時点で2件が確認されている。

 1件は5歳の女児で、症状は「嘔吐」。もう1件は10歳の女児で、症状は「胸痛、腕の痛み(接種と反対側)、痙攣、倦怠感」。いずれも重篤度は「重くない」という。5歳の女児はアレルギー性鼻炎で抗ヒスタミン薬のオロパタジンを服用していたが、2人とも基礎疾患はない。

 この2件について検討部会は、「情報不足等によりワクチンとの因果関係が評価できない」としている。また、副反応が起きる頻度も成人の接種と比べて頻度が高いとは言えないと報告されている。

 それでも、親の不安は募る。都内で10歳の女児を持つAさん(男性・45歳)はこう語る。

「子供の副反応は出にくいと言われていますが、こうした報告があるとどうしても心配になってしまう。今回の調査は接種開始からまだ日が浅いので、これから副反応の報告は増えていくと思う。当初接種させる予定でしたが、オミクロン株の症状は軽いようだし、なかなか踏ん切りがつかない。ママ友の間でも“どうしようか”と話題になっています」

 小児ワクチンの集団接種の現場に立つ帝京大学大学院公衆衛生学研究科の小児科医・高橋謙造医師はこう語る。

「集団接種の会場に来られた保護者からは、“打った後に熱が出たらどうするか”とか、接種後の副反応への対応を熱心に聞かれることが多いです。診療の現場でも、『受けたほうがいいと思っているけど、副反応が心配』という声が一番多いですね」

関連記事

トピックス

隣の新入生とお話しされる場面も(時事通信フォト)
《悠仁さま入学の直前》筑波大学長が日本とブラジルの友好増進を図る宮中晩餐会に招待されていた 「秋篠宮夫妻との会話はあったのか?」の問いに大学側が否定した事情
週刊ポスト
新調した桜色のスーツをお召しになる雅子さま(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
雅子さま、万博開会式に桜色のスーツでご出席 硫黄島日帰り訪問直後の超過密日程でもにこやかな表情、お召し物はこの日に合わせて新調 
女性セブン
NHKの牛田茉友アナウンサー(HPより)
千葉選挙区に続き…NHKから女性記者・アナ流出で上層部困惑 『日曜討論』牛田茉友アナが国民民主から参院選出馬の情報、“首都決戦”の隠し玉に
NEWSポストセブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(時事通信フォト)
《「心神喪失」の可能性》ファストフード中学生2人殺傷 容疑者は“野に放たれる”のか もし不起訴でも「医療観察精度の対象、入院したら18か月が標準」 弁護士が解説する“その後”
NEWSポストセブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと住所・職業不詳の谷内寛幸容疑(右・時事通信フォト)
〈15歳・女子高生刺殺〉24歳容疑者の生い立ち「実家で大きめのボヤ騒ぎが起きて…」「亡くなった母親を見舞う姿も見ていない」一家バラバラで「孤独な少年時代」 
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《広末涼子が釈放》「グシャグシャジープの持ち主」だった“自称マネージャー”の意向は? 「処罰は望んでいなんじゃないか」との指摘も 「骨折して重傷」の現在
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市早苗が激白「私ならトランプと……」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市早苗が激白「私ならトランプと……」ほか
週刊ポスト