大相撲夏場所(5月8日初日)で、「東大出身力士」が誕生しそうだ。国立大卒は過去に4人いるが、東大からの角界入りは史上初。入門するのは、須山穂嵩さん(24)だ。
「3月末の理事会で新弟子検査受験が承認され、178cm、99kgと体格基準も満たしている須山さんの合格は確実。夏場所で初土俵を踏むとみられます」(担当記者)
須山さんが相撲を始めたのは二浪して東大に入学した後。相撲部の勧誘がきっかけだったという。入学直後の5月に行なわれた「国公立大学相撲選手権大会」では、新人戦で3位となっている。
「土俵上を機敏に動きまわって技を繰り出す宇良タイプ。ただ、私学の強豪にはなかなか勝てないことが多かった」(同前)
角界で中卒が当たり前だったのは昔の話。大関の御嶽海(東洋大)や正代(東農大)をはじめ、大卒力士が急増している。先の春場所では幕内42人中14人、十両28人中14人(中退含めず)が大学相撲部出身だ。ただし、関取まで出世したのは私学の出身者だけ。須山さんは関係者に「幕下まで3年で上がりたい」と語っているというが……。
「全国大会で成績を残せば幕下や三段目の付出としてデビューできるが、そうでなければ大学相撲部出身でも前相撲から。序ノ口スタートなら十両昇進まで早くても2~3年かかる」(若手親方)
気になるのは、相撲部屋の上下関係だ。
「最近は親方が注意するので部屋でのイジメは減ったが、それでも上下関係は厳しい世界。付け人制度があり、兄弟子の命令は絶対。24歳の新弟子として理不尽と思うようなこともたくさんあるはずだ」(前出・担当記者)
とはいえ、新弟子の数が減っているだけに話題性抜群の東大出身力士の入門は角界も大歓迎だろう。須山さんは木瀬部屋へ入門するとみられるが、「ベストの選択では」と前出の若手親方は言う。
「木瀬親方(元前頭・肥後ノ海)が日大出身で、宇良をはじめ5人の関取は全員、大学出身。所属力士の半数が大卒です。たたき上げ力士が多い部屋よりトラブルは少ないでしょう」
初の東大出身関取の誕生が楽しみだ。
※週刊ポスト2022年4月22日号