ライフ

免疫低下で発症する、痛い「帯状疱疹」 50歳以上でリスク高まる

「帯状疱疹」について白鴎大学教授の岡田晴恵氏が解説

「帯状疱疹」について白鴎大学教授の岡田晴恵氏が解説

 今もその対応に悩まされている新型コロナウイルスだけでなく、人類は様々な感染症とともに生きていかなければならない。白鴎大学教授の岡田晴恵氏による週刊ポスト連載『感染るんです』より、「帯状疱疹」について解説する。

 * * *
 感染症対策の岡田晴恵です。

 この連載で私自身が「破傷風トキソイドワクチン」を接種したことはお話ししましたが、コロナ禍で私が「打とう!」と思ったワクチンの1つに50歳以上から接種できる「帯状疱疹予防ワクチン」もありました。こんな時期はストレスで免疫も下がって、帯状疱疹を発症しやすくなるからです。

 帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスの感染によって起こる病気です。通常は右側、または左側のいずれか一方に、まずはチクチク、ピリピリ、ズキズキというような神経痛が出て、その痛みのある部分に赤い斑点のような皮膚症状があらわれます。

 その後、赤い斑点の中に水ぶくれができ、破れてただれたような状態になって、最終的にはかさぶたになります。これに伴う痛みも、強くない軽症から、水ぶくれが多数出て強い痛みを伴う中等症、さらに重症となると水ぶくれが大きくなり全身に出て痛みも激烈となり、入院治療が必要となることもあります。さらに合併症としては「帯状疱疹後神経痛」もあり、皮膚症状のおさまった後にも痛みが続くことがある、要注意の病気なのです。

 この水痘・帯状疱疹ウイルスに最初に感染したときの病気が、水痘です。ポスト世代の皆さんは、子どものときに“かゆ~い水ぼうそう”を経験した方がほとんどでしょう。

 日本では、主に冬から初夏にかけて、小児を中心に流行を繰り返していました。はじめは「虫さされかな?」というくらいの小さなブツブツができ、それが大きくなって水ぶくれになり、4、5日経つとはじめにできたブツブツがかさぶたになります。痒みがあってもかさぶたをはがさないようにして1週間ほど過ぎると、自然にかさぶたが取れて治っていきます。

 ところが、こうして水ぼうそうが治った後も、このウイルスは体内の知覚神経節に終生潜伏感染して居座るのです。そうして免疫が低下すると、帯状疱疹という今度は“いた~い病気”を発症するのです。これは嫌ですよね。

 2014年から水痘ワクチンは国の定期予防接種となって、1~2歳児を対象に2回接種が(3か月あけて)行なわれています。しかし、それ以前の日本人の多くが子どものときに水ぼうそうに罹って、体内にウイルスをもっています。さらに50歳以上になると、帯状疱疹を発症するリスクが急に上がってきます。事実、帯状疱疹の患者さんの約7割が50歳以上の方々です。

関連キーワード

関連記事

トピックス

12月9日に62歳のお誕生日を迎えられた雅子さま(時事通信フォト)
《メタリックに輝く雅子さま》62歳のお誕生日で見せたペールブルーの「圧巻の装い」、シルバーの輝きが示した“調和”への希い
NEWSポストセブン
宮崎あおい
《主演・大泉洋を食った?》『ちょっとだけエスパー』で13年ぶり民放連ドラ出演の宮崎あおい、芸歴36年目のキャリアと40歳国民的女優の“今” 
NEWSポストセブン
悠仁さまが2026年1月2日に皇居で行われる「新年一般参賀」に出席される見通し(写真/JMPA)
悠仁さまが新年一般参賀にご出席の見通し、愛子さまと初めて並び立たれる場に 来春にはUAE大統領来日時の晩餐会で“外交デビュー”の可能性も、ご活躍の場は増すばかり
女性セブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
《チョビ髭の大谷翔平がハワイに》真美子さんの誕生日に訪れた「リゾートエリア」…不動産ブローカーのインスタにアップされた「短パン・サンダル姿」
NEWSポストセブン
日本にも「ディープステート」が存在すると指摘する佐藤優氏
佐藤優氏が明かす日本における「ディープステート」の存在 政治家でも官僚でもなく政府の意思決定に関わる人たち、自らもその一員として「北方領土二島返還案」に関与と告白
週刊ポスト
会社の事務所内で女性を刺したとして中国籍のリュウ・カ容疑者が逮捕された(右・千葉県警察HPより)
《いすみ市・同僚女性を社内で刺殺》中国籍のリュウ・カ容疑者が起こしていた“近隣刃物トラブル”「ナイフを手に私を見下ろして…」「窓のアルミシート、不気味だよね」
NEWSポストセブン
石原さとみ(プロフィール写真)
《ベビーカーを押す幸せシーンも》石原さとみのエリート夫が“1200億円MBO”ビジネス…外資系金融で上位1%に上り詰めた“華麗なる経歴”「年収は億超えか」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している(Instagram/時事通信フォト)
《大谷翔平のハワイ高級リゾート裁判が長期化》次回審理は来年2月のキャンプ中…原告側の要求が認められれば「ファミリーや家族との関係を暴露される」可能性も
NEWSポストセブン
神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン
高羽悟さんが向き合った「殺された妻の血痕の拭き取り」とは
「なんで自分が…」名古屋主婦殺人事件の遺族が「殺された妻の血痕」を拭き取り続けた年末年始の4日間…警察から「清掃業者も紹介してもらえず」の事情
(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
熱を帯びる「愛子天皇待望論」、オンライン署名は24才のお誕生日を節目に急増 過去に「愛子天皇は否定していない」と発言している高市早苗首相はどう動くのか 
女性セブン
「台湾有事」よりも先に「尖閣有事」が起きる可能性も(習近平氏/時事通信フォト)
《台湾有事より切迫》日中緊迫のなかで見逃せない「尖閣諸島」情勢 中国が台湾への軍事侵攻を考えるのであれば、「まず尖閣、そして南西諸島を制圧」の事態も視野
週刊ポスト