今から40年前の1982年、バブル経済が訪れる数年前のこの時代には、その後も名作として語り継がれるドラマが数多く生まれた。この年に話題となったドラマにはどんな特徴があったのか。
家庭でも学校でもつらい日常のドラマに共感
「1982年に話題になったテレビドラマは、家族の因習や社会問題などを描いた作品が多かったんです」
とは、コラムニストの吉田潮さん(「」内、以下同)だ。
「家族や夫婦の愛憎を描き続けた脚本家の故・橋田壽賀子さんは当時57才。この年、『夫婦』『結婚』『ああ離婚』(いずれもTBS系)など、夫や家族の理不尽さに“耐え忍ぶ妻”を頻繁に描いていました。ドラマを見ることで、女性の社会的地位の低さがよくわかりました」
ドラマのテーマは、“日常のつらさ”を扱ったものが多かった。学園ドラマでもそれは踏襲され、『3年B組金八先生』をはじめ、『桜中学シリーズ』(『1年B組新八先生』『2年B組仙八先生』『3年B組貫八先生』)などが制作された。
「学歴が重視され、受験戦争が激化したことの弊害が表面化してきたのがこの頃だったんです。いじめや校内暴力などがニュースになり、“落ちこぼれをどうするべきか”は社会問題になりました。それを扱ったのが学園ドラマ。やはり、武田鉄矢さんの存在感が圧倒的でした。説教の口調、ヘアスタイルはクセが強く、独特の温度と粘度がありました。これが、時代が求める熱血教師像に合致したんだと思います」