ギャグ漫画『サラリーマン山崎シゲル』や第25回日本絵本賞を受賞した絵本『ぱんつさん』で知られる、芸人/ギャグ漫画家/絵本作家の田中光。4月20日にエッセイ漫画『つまねこ〜妻とねこのはなし〜』の4巻が発売されるほか、新たに“ツッコミ不在”のギャグ漫画『この夫婦は、止まらない!!』を4月22日に単行本で発売する。今年2月には「猫がいるかいないか」だけを描いたユニークな絵本『ねこいる!』も刊行、発売からわずか2週間で重版が決定するほどの人気ぶりが話題となった。もともとお笑い芸人としてキャリアをスタートさせ、M-1グランプリやキングオブコントなど有名コンテストで準決勝進出の経歴も持つ彼は、なぜ絵の世界で躍進を遂げることになったのか。本人に話を聞いた。
──田中さんはお笑い芸人として活動する前、美術系の大学に進学しています。当時はどのような将来の夢を抱いていましたか?
田中:お笑いをやるか絵を描くか悩みつつ美大に入りました。結果的に1年で退学して大阪NSCに入り直したのですが、なぜかと言うと、「歳を取ってから、絵は描こう」と思ったんですね。逆にお笑いは若い頃に始めておかないと歳を取ってからだと難しい。なのでいずれ絵は描こうと思いつつ、先にお笑いの活動をスタートさせようと考えました。
──いつ頃からお笑いの世界を目指すようになったのでしょうか?
田中:中学生の時にテレビを見ていて「俺の方が面白い!」と思ってしまったんですね。今振り返れば勘違いもいいところですけど、とにかくお笑いの世界に進もうと思って、同級生と一緒に漫才で遊んだりしていました。同時に、小さい頃から絵を描くのが好きだったので、将来は何かモノを作る職業に就くんだろうなとは漠然と思っていました。「お笑いの世界に進むぞ!」と決意したわけではなくて、お笑いと絵がなんとなく自分の人生の中にあり続けていて、それ以外の選択肢がなかったんです。
──憧れのお笑い芸人はいましたか?
田中:やっぱりダウンタウンさんには憧れていました。それと自分がお笑い芸人として活動するようになってからは板尾創路さんのような立ち位置が一つの目標になりました。板尾さんが大好きでしたし、僕はあまりバラエティで盛り上げるタイプの芸人にはなれないだろうなと思っていたので、板尾さんのようなテンションで行きたいなと。
実は僕、芸能界に対する憧れを一切持たずに生きてきたんです。テレビに出て売れたいという欲望がなくて。本音を言えば舞台だけでやっていきたかった。けれどそれだと食べられないという現実があったので、やっぱりテレビに出なければならなくて、そのための努力もしてきました。そうなった時に自分はタレントとしてどんなキャラクターがいいだろうと考えたら、板尾さんのような雰囲気が近いタイプだなと思ったんですね。