10人に1人が悩むという“国民病”の痛風。突然手足が痛むという発作が起きるのがその特徴。発作経験のある黒川博行氏(作家・73)、グレート義太夫氏(お笑い芸人・63)、大竹聡氏(ライター・59)ら「痛風ブラザーズ」は、厄介な病気とどのように闘ってきたのか。痛風との長い付き合いの中で独自に編み出した対処法が座談会で明かされて──。【全4回の第4回。第1回から読む】
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黒川:突然痛むって言うけど、痛みが来る時はわかりますよね。僕はいつも右の足首なんだけど、ザワザワッとした予兆が必ずある。「ああ、これは明日あたりに来るな」と思って、その日から水をがぶ飲みするんです。とにかく飲んで、尿を出す。おかげでこの数年は本格的な発作に至ってません。
義太夫:慣れてくると予兆がわかりますよね。それを「まだいけるか」ってギリギリまでチキンレースの大食らいをしていると、もうアウト。
大竹:不思議なんですけど、足首に「ちょっと来たな」っていう時に、お酒を飲むと大丈夫になってくるんですよ(笑)。深夜のバーで飲みながら、「あれっ、足、治ってる」みたいな時があって。酔って麻痺してるだけなんですけどね。
黒川:たしかに、痛みがすーっと消えて、倍くらいに腫れてた足首が元に戻ると、痛風が“なかったこと”になる(笑)。
大竹:それでまたぶり返すわけです。その愚かしさをどこまで自分で了解して、「俺はこういう人間なんだ。しょうがない」と思うかどうか。でも、開き直っても、痛すぎて開き直り切れないところにまでいっちゃうから、痛風って怖い。
義太夫:昔、僕が通っていた病院で、食生活を厳しく制限したら、鯛焼きを持って屋上に立てこもった患者さんがいて。それから月1とか週1で好きなものを食べていいというふうにしたそうです。自分で食生活をコントロールすると、ある程度好きな物を食べられて、予兆で済むっていうのはありますね。
黒川:僕は食べる物を考えるようになりました。プリン体どうこうじゃなくて、肥満しない。甘いものは大量に食べないとか。あとは、野菜ファーストね。
大竹:野菜を先に食べる。
黒川:そうそう。睡眠時間をちゃんととって、寝不足を避ける。ある意味、痛風が身体のことを考えるひとつのきっかけになった。お酒ばかり飲んで喉がカラカラに渇くのも良くないらしいよ。
大竹:マジですか? これまで酒の間に水を飲むヤツを見て「お前、バカ野郎」って思ってました。
義太夫:痛風ブラザーズは今後、「ながら水飲み」が必須ですね!
(了。第1回から読む)
【プロフィール】
黒川博行(くろかわ・ひろゆき)/作家。1949年生まれ、愛媛県出身。京都市立芸術大学卒業後、大阪府立高校の美術教師を経て、1983年『二度のお別れ』で作家デビュー。2014年「疫病神」シリーズの『破門』(KADOKAWA)で直木賞受賞。著書多数。
グレート義太夫(グレート・ぎだゆう)/お笑い芸人。1958年生まれ、東京都出身。大学中退後アマチュアでのミュージシャン活動を経て、ビートたけし率いる芸人グループ『たけし軍団』に加入。身体を張った芸風で「たけし軍団の弁慶」と称される。
大竹聡(おおたけ・さとし)/ライター。1963年生まれ、東京都出身。早稲田大学卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。2002年にミニコミ誌『酒とつまみ』を創刊。『酒呑まれ』『酔っぱらいに贈る言葉』(ともにちくま文庫)など、著書多数。
※週刊ポスト2022年4月22日号