4月10日、史上最年少で完全試合を達成したロッテ・佐々木朗希(20)。13者連続奪三振の日本新記録、19奪三振の日本タイ記録、自己最速タイの164キロと記録尽くしの偉業に、すでにメジャーからも熱視線が送られる。日本ハムや楽天、ソフトバンクで投手コーチを務め、ダルビッシュ有(35)、田中将大(33)といった一流のメジャーリーガーを育て上げた佐藤義則氏は、“令和の怪物”をどう見たのか。
「今後、どれだけすごい投手になっていくのか正直、想像がつかない。間違いなく日本のエースにはなれる投手です。ピッチングフォームを見る限りは、フォームのブレも少ないし、抜けたボールも少ない。プロ入り当初のような線の細さは解消され、下半身もかなりできあがっている。ただ、まだまだ伸びしろがあるという印象ですね。もっと速く腕を振れると思うけど、今はコンスタントに160キロを投げようという投球をしています。今後鍛えれば数キロはあがるでしょう」(佐藤氏、以下同)
ロッテの佐々木への育成方針は徹底していた。1年目は1軍に帯同させたものの、吉井理人投手コーチ(当時。現在はピッチングコーディネーター)は体作りに専念させ、2軍での実戦登板すらなかった。2年目の昨年は5月に1軍デビューを果たすも、中10日以上の登板間隔を空け、中6日でマウンドに上がったのは、優勝争いを繰り広げていた最終盤のオリックス戦1試合だけだった。
「今の球界では高卒ルーキーはすぐに投げさせず、基礎体力作りに専念させる傾向がある。入団後の体力測定で、プロの環境で投げられるかを判断して、育成メニューが決まる。やはり故障が恐いですからね。佐々木は高校時代も120球ぐらい投げていたわけですから、スタミナがないわけではないでしょう。ただ、高校時代と違ってプロは毎日試合があり、ローテーションを守らなくてはいけない。それに同じ打者と何度も対戦することになる。田中は1年目からフル稼働してもらいましたが、基礎体力が高校生離れしていたということで馬力もスタミナも問題はなかった。チームに先発投手の頭数が足りなかったのもありましたが、佐々木のケースでは高校時代の監督の意見も聞いて大事にしたんじゃないでしょうか」