4月12日、上皇ご夫妻は「御代がわり」に伴う引っ越しのため、東京・港区の仙洞仮御所をあとにされた。4月下旬まで葉山御用邸(神奈川県)に滞在され、その間に、赤坂御用地にある旧赤坂御所への引っ越し作業が進められる。
2年余りの仮住まいは、コロナ禍で外出が制限され、ご夫妻は毎日朝と夕の2回、仮御所の庭を散策するだけの「おこもり生活」。木々が生い茂る仮御所の庭から、周囲のマンションのベランダに立つ住民とお手振りをされるなど、制限のある“国民との触れあい”が続いていた。
仮御所を出発される際、ご夫妻は身を乗り出すようにして、近隣住民や居合わせた保育園児らに「ありがとう。お元気で」と穏やかな表情で挨拶をされていた。
葉山御用邸に到着されると、御用邸前の「小磯の鼻」と呼ばれる小さな岬に立たれ、相模湾に浮かぶ富士山頂上に夕日が重なる美しい光景を眺められた。
上皇さま「ダイヤモンド富士は初めて見たね」
美智子さま「はい、本当に美しい景色ですね」
上皇さまは美智子さまのか細く華奢な手を優しく握られ、美智子さまは上皇さまの肩に頬を寄せられていた。
ご高齢になられても上皇さまと美智子さまの変わらないお姿を眺めつつ、ダイヤモンド富士の雄大な美しさは、ご夫妻のためにある瞬間だった。
悠仁さまを和船に
上皇ご夫妻の葉山御用邸滞在は、2年ぶりのことだ。前回は皇居から仙洞仮御所への引っ越し作業時、葉山御用邸と那須御用邸(栃木県)の2か所に滞在された。
葉山御用邸へ到着する際、沿道にはご夫妻の姿を一目見ようとマスクをつけた地元住民たちが、隣同士の距離を保ち、横一列に並んで集まっていた。
「上皇さまと美智子さまが葉山御用邸で静養されると知り、早くお会いしたくて3時間前から待っています」(隣町に住む女性)
正午過ぎ、白バイの先導で、ご夫妻を乗せたお車が到着した。歩くほどのスピードで、住民たちの前を通過する。コロナ禍で声掛けができないため、住民たちは手を振り笑顔でご夫妻を出迎えた。