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岡田晴恵氏が特にワクチン接種を勧める「髄膜炎菌性髄膜炎」致死率は19%

「髄膜炎菌性髄膜炎」の恐ろしさとは?

「髄膜炎菌性髄膜炎」の恐ろしさとは?

 今もその対応に悩まされている新型コロナウイルスだけでなく、人類は様々な感染症とともに生きていかなければならない。白鴎大学教授の岡田晴恵氏による週刊ポスト連載『感染るんです』より、「髄膜炎菌性髄膜炎」についてお届けする。

 * * *
 実は、私は白鴎大学野球部の顧問も務めています。寮生活の部員のために、特にワクチンでの予防を勧めている感染症があります。

 一般的にはあまり知られていませんが、髄膜炎菌の感染によって起こる「侵襲性髄膜炎菌感染症(髄膜炎菌性髄膜炎)」です。

 今はコロナ禍で慎んでいますが、通常、学生さんの寮生活では部屋に集まって一緒に過ごすことや、大皿での食器類の共用での楽しい食事もあるでしょう。時にはペットボトルの回し飲みもするようです。平時に学生寮が髄膜炎菌の感染のリスクが高いのは、このような共同生活の背景があってのことだと思います。この感染症は新入生が免疫をもたないで入学して感染し、さらに新生活の疲れが蓄積する5~7月に発症しやすいとされます。

 日本では年間30~40例発生し、誰でも感染する可能性がありますが、特に15歳から19歳の思春期が好発年齢です。加えて、前述のように集団生活が感染のリスクを上げるため「学校の寮などで集団生活を送る者」に対して、ワクチン接種が推奨されています。髄膜炎菌は地域によって流行する菌が違いますが、日本でもA、C、Y、Wの4価結合型ワクチンが2014年に認可され、任意で接種できます。

 2017年には横須賀市内の全寮制大学校において、10代の男子学生が突然、侵襲性髄膜炎菌感染症を発症して死亡。学校関係者の濃厚接触者は42人で、そのうち保菌者は10人でした。学生・教職員ともに注意すべき感染症です。

 髄膜炎菌は健常者の鼻咽頭にも存在しており、その保菌率は日本では0.4~0.84%です。感染者の咳やくしゃみ等の飛沫感染や接触感染で伝播されます。そして、髄膜炎菌が鼻や喉の粘膜に定着した人の1%未満で、菌が粘膜から侵入して血液に入り、全身の臓器に髄膜炎菌が到達して病気を起こします。さらに、このようになった患者の約半数で、菌が髄液に侵入して髄膜炎を起こすのです。

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