テレビや家具が室内を飛び交う。古い木造住宅は数秒で崩壊し、そこから一気に火の手が上がる。津波が街を襲い、ライフラインは遮断され、水も飲めない、電気もつかない。これは今後、30年以内にほぼ確実に起こる日本の「現実」である。ただ、その危険性を知っていれば、少なからずリスクは抑えられる。最近、全国で不気味に地震が多発している。巨大地震がは、すぐそこまで迫っているのか──。
東京都に住む岡田敦子さん(39才・仮名)が話す。
「ちょうど寝付いた頃、強めの地震を感じて飛び起きました。『とうとう大地震が来た!』と思いましたよ。揺れがかなり長く、収まってからもしばらく心臓がドキドキ。幸いわが家に被害はなかったのですが、津波注意報が出たのでテレビのニュースに釘付けになり、なかなか寝付けませんでした。それ以降も地震が増えたと感じます。夜遅くまで塾に通う小学生の娘がいるので本当に心配です」
3月16日午後11時36分。ちょうど寝床に入る頃、東日本を強い地震が襲った。最大震度は福島県と宮城県で6強。東北新幹線は脱線し、全線復旧までほぼ1か月を要するなど、大きな被害をもたらした。
最近、列島各地で地震が頻発している。4月11日には政府の地震調査委員会が「3月には日本や周辺域でマグニチュード(M)4以上の地震が195回発生した」と発表。2013年以降、最も多い数だった。石川の能登地方では3月に震度1以上の地震を22回観測し、月の地震回数で過去最多を記録。そのほか、愛知や沖縄など震源地は幅広く、次に日本のどこで起きても不思議はない状況だ。
列島を何度も揺らす地震、これは何かの予兆なのか──京都大学名誉教授で地球科学者の鎌田浩毅さんが解説する。
「日本はいつ巨大地震が起きてもおかしくない段階に来ている。現在、地震が頻発している理由は2つ。1つは東日本大震災の余震です。その震源は1000年に1度、東北沖で大地震を起こしており、少しずつ静穏期に向かってはいるものの発生後30年間ほどは余震を伴う」
もう1つの理由が厄介だ。
「それは約100年おきに起きる南海トラフ巨大地震です。次は2035年(±5年)に必ず起きると予測されており、2030〜2040年のどこかで起きる可能性が非常に高いのです」(鎌田さん)
折しも3月、地震調査委員会が18年ぶりに南海トラフの西端である日向灘周辺や南西諸島周辺などで起きる地震の規模や発生確率について長期評価を見直した。異変は確実に起きている。
※女性セブン2022年5月5日号