今春、新しい番組がスタートしたが、「多くの女性タレントたちを集めたトーク番組」が3番組も誕生した。こうした番組の特徴と、今増えている理由とは? 時代のニーズとともに、テレビ局側の切実な事情もあるようだ。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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今春の番組改編で、それぞれ3日に『ドーナツトーク』(CBC・TBS系)、6日に『上田と女が吠える夜』(日本テレビ系)、7日に『トークィーンズ』(フジテレビ系)の3番組がスタートしました。
この3番組の共通点は、「たくさんの女性タレントを集めたトーク番組」「『女性たちが言いたい放題』というコンセプト」であること。
ここ数年、テレビ朝日が田中みな実さんと弘中綾香アナさんの『あざとくて何が悪いの?』、日向坂46・齊藤京子さんとヒコロヒーさんの『キョコロヒー』、3時のヒロイン・福田麻貴さん、Aマッソ・加納さん、ラランド・サーヤさんの『トゲアリトゲナシ』、蛙亭・イワクラさんと吉住さんの『イワクラと吉住の番組』という女性メインのトーク番組を放送していましたが、今春の新番組は他局がそれを拡大させたような印象があるのです。
3つの番組はそれぞれどんな内容で、なぜ今これほど増えているのでしょうか。
時代のニーズに合わせたコンセプト
まず各番組の出演者とコンセプトをチェックしてみましょう。
『ドーナツトーク』は、女優の水野美紀さん、アナウンサーの鷲見玲奈さん、芸人のヒコロヒーさん、アーティストのAwesome City Club ・PORINさんという各ジャンルから集めた4人に加えて、オンラインでつないだ一般女性50人が出演。男性ゲスト1人を囲うような形で、「女性たちが思いのままに語り合う令和版・井戸端会議」というコンセプトでグループトークが行われています。
『上田と女が吠える夜』は、MC・上田晋也さん以外のレギュラーを「元気が有り余って吠えたい女性たち」という形であえて決めず、大久保佳代子さん、MEGUMIさん、若槻千夏さん、ファーストサマーウイカさん、平野ノラさん、横澤夏子さんらが週替わりで出演。さらに、モデルやアイドルなど幅広いジャンルの女性タレントを交えて、「世の中のあらゆる出来事や人に文句を言いまくる痛快デトックスバラエティー」というコンセプトで放送されています。
『トークィーンズ』は、指原莉乃さん、いとうあさこさんをMCに据え、アンミカさん、若槻千夏さん、高橋真麻さん、野呂佳代さん、ファーストサマーウイカさん、藤田ニコルさん、池田美優さん、生見愛瑠さん、3時のヒロイン、フワちゃんらバラエティのトーク巧者が週替わりで出演。「女性たちが男性ゲスト1人を質問攻めして丸裸にしていく」というコンセプトでグループトークが進んでいきます。
『上田と女が吠える夜』と『トークィーンズ』の出演者が一部かぶっているのは、よりトークのうまい女性タレントを集めようとした結果に過ぎないでしょう。実際、両番組の出演者たちは、ただ自由に話しているのではなく、「好感度を保ちながら毒を吐く」「笑いを交えてさまざまなものに噛みつく」という高いトーク技術を披露しています。
また、注目しておきたいのは、両番組の放送枠で3月まで放送されていた『今夜くらべてみました』と『アウト×デラックス』の2番組。どちらも「さまざまな生き方がある」「いろいろな人がいてもいい」という多様性を尊重する当時の風潮を踏まえたコンセプトの番組でした。