インターネットの匿名日記サイトに投稿された花粉症の薬に関する話が注目を集めている。投稿主は、毎年春になると普段なら気にならない些細なことががまんできなかったり、急に錯乱状態に陥ったりすることが相次いでいた。精神的な持病だととらえていたが、原因が花粉症の薬にあることがわかり、服用をやめたことでその症状がおさまったことが綴られている。銀座薬局代表で薬剤師の長澤育弘さんが指摘する。
「(花粉症の薬の)セレスタミンの有効成分である『d−クロルフェニラミンマレイン酸塩』に原因があったと考えられます。神経伝達物質である『ヒスタミン』の働きを抑える薬なので、神経の活性に影響を与えることがある。具体的な副作用として眠気や、認知機能の低下、まれに昏睡や精神錯乱なども報告されています」
そもそもどんな薬でも服用するメリットとデメリットがある。しかし、副作用が表れずに症状が改善したのであれば、その人にとっては有効な薬といえる。だが反対に、薬をのみ続けることによって、体調が悪化する例は多い。松田医院和漢堂院長で日本初の「薬やめる科」を開設した松田史彦さんが言う。
「薬の種類は膨大で次々と新薬が登場するため、すべての副作用を医師や製薬会社が把握するのは不可能に近い。さらに、処方時に医師や薬剤師が伝えるのは、一部の重大な副作用に限られている。軽い頭痛や発疹、倦怠感などは多くの薬でみられる副作用ですが、薬が原因だと思わずにのみ続けていることがある。薬をやめたら体の不調がおさまったという例は少なくありません」
頼るべきは内科と薬局
もしいま感じている体の不調に副作用の心当たりがあったらどうすべきか。松田さんはまず、のんでいる薬について調べてみてほしいとアドバイスする。
「いまはインターネットで検索すれば、薬の説明書や添付文書を見ることができます。なかでもわかりやすいのは『日経メディカル』のサイトです。副作用がまとめられており、文字も大きく確認しやすい。薬の名前と『日経メディカル』を検索サイトのキーワードに入れて調べてみてください」(松田さん)
思い当たる副作用を見つけたら、その薬が処方された病院の医師に相談するのがベストだ。
「政府の減薬に対する取り組みが進み、薬を減らすことで病院や薬局にもメリットが生じるようになっています。たとえば、6種類以上の処方薬を長期間服用している患者に対して処方が適切か否かを判断した結果、2種類以上の薬を減らすことができた場合は調剤報酬が加算できる。医師の理解は進んでいるはずなので、表立ってイヤな顔をされることはまずないはずです」(長澤さん)