1970年代にフォーク界を席巻し、その後も日本の音楽シーンで活躍し続けてきたカリスマ・吉田拓郎(76才)が、有終の美を飾ろうとしている。そこに立ち会い支えるのは、最愛の妻と唯一無二の友人。ラストアルバムに秘められた52年間の思いとは──。
突然の発表に、ファンはうれしさと寂しさの両方を一気に味わった。
「発売日は2022年6月29日です。本来なら、発売は秋の予定でレコード会社とも話していたのですが、無理をまた言わせてもらいまして」
4月8日、吉田拓郎が自身のラジオ番組『吉田拓郎のオールナイトニッポンGOLD』(ニッポン放送)で、アルバムの発売日が前倒しになったことを明かした。
8年ぶりとなる待望のアルバムだが、吉田はかねて、このアルバムをもって音楽活動に終止符を打つことを表明している。つまり、“引退”が早まったことになり、ファンは複雑な心境だという。なぜ吉田はリタイアを急いだのだろうか──。
吉田を古くから知る音楽関係者が代弁する。
「拓郎さんは向上心の強い人で、“常に前に進んでいたい”という気持ちを持っています。ですが、ファンや周囲が拓郎さんに期待するのは、彼の人気が爆発した1970年代の曲調の歌ばかり。そうした空気を感じ取り、拓郎さんは辟易してしまったようです」
実際、冒頭のラジオ番組で吉田はこう語気を強めている。
「1970年代は素晴らしい青春でした。それは大いに僕も認めています。僕だって誇らしい青春がいっぱいあります。あれを体験したからこそいまがある。それぐらい僕はそのことを誇らしくは思います。でもやっぱりそれはそれってしないと。それを2022年のいまも引きずっていてどうするんだということなんです(中略)やっぱりみんな半歩でいいから前に進もうよ。そこに停滞するな。それを言いたいんだよ!」