北朝鮮の中央銀行が、現在流通している最高額紙幣である5000ウォン札(約111円)の10倍の5万ウォン(1114円)に相当する金券を新たに発行していたことが明らかになった。5万ウォンの金券の流通枚数など詳しいことは不明だが、今年初めに発行され、企業間の取引用として使われているという。
5万ウォンの金券を個人用に流通させずに、企業間での限定的な流通にとどめているのは、北朝鮮当局がインフレを抑制しようとしていることを示す可能性もあるとみられる。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
5万ウォンの金券には朝鮮中央銀行の名前が記され、発行日は「チュチェ111」(北朝鮮の暦で、建国者・金日成の生誕年である1912年から始まる現在の年)であることが示されている。背景には、中朝国境にある北朝鮮の聖地、白頭山が描かれている。
北朝鮮の紙幣は、5ウォン札から5000ウォン札まであり、市民は通常、ドルや中国元などの外国通貨と北朝鮮ウォンを組み合わせて商品やサービスの代金を支払っている。
北朝鮮経済に詳しい韓国の政府筋はRFAに対して、「北朝鮮の中央銀行は単に高額紙幣を発行するのではインフレを引き起こすので、経済状況が良くなったときに換金できる金券を流通させているのではないか」との見方を明らかにしている。